シェアリングエコノミーの新戦力 「52tyre.com」のレンタルタイヤ

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物流業界の市場競争の激化が進む中、物流の各業務プロセスでコスト削減が進んでいる。交通輸送における主な費用は、ガソリン、人件費、タイヤ、通行料金などであり、その内平均で総コストの約8%を占めるタイヤ費用は大幅に削減可能で、大きな市場を生み出す可能性を孕んでいる。

データによると、中国国内の商用車保有台数は4600万台前後、商用車の平均タイヤ本数は11本、タイヤ1本当たり1200元(約18000円)で計算すると、商用車タイヤの市場規模は4000億元(約6兆円)前後となる。中国国内のタイヤメーカーと販売代理店はサービスに対する関心は低く、ほとんどがタイヤの販売のみを主眼とし、整備と再生技術のレベルでは海外の大手企業との差が大きい。このことは、タイヤの保守とレンタルサービスには巨大な市場が眠っていることを意味する。

「我愛輪胎網(52tyre.com)」は、「北京颶風伙伴網絡科技有限公司(Beijing Hurricane Partner Network Technology Co., Ltd.、以下「颶風」)」が運営するタイヤ専門のフルバリューチェーンECプラットフォームである。同社は2013年に設立され、主に輸送業者向けにタイヤレンタル、商品分析、タイヤソリューションサービスを提供。タイヤ利用のコストの低減と寿命の延長、タイヤの購入に際する資金調達等の問題を解決することを目的としている。

颶風は主に物流会社向けにサービスを提供している。これまで50社以上にサービスを提供し、大規模な企業向けサービスの宣伝効果により、中小規模の事業者を集めることにも成功している。これまでレンタルしたタイヤ数は10万本以上に上る。CEOの吉陸氏によると、颶風には2019年だけで300社以上からの問い合わせがあったという。

事業用タイヤの仕入れコストは、1本約1200元(約18000円)で、平均寿命は1.5年である。颶風は市場価格の約8割でメーカーから仕入れ、年間レンタル料金1000元(約15000円)で、物流会社にレンタルしている。また、自社のリトレッドタイヤ工場を設立しており、タイヤ1本あたり平均で2回再生することができる。再生不能のタイヤは1本200元(約3000円)で販売している。リトレッドタイヤの加工コストを計算にいれても、1本あたり300元(約4500円)の粗利となる。同時に、物流会社に対して、タイヤメンテナンスサービスとソリューションを提供し、サービスを受けた企業は30%以上のコスト削減ができるという。

タイヤ業界では、適切なトレッドパターンや規格の製品の選択や、タイヤの交換、メンテナンスなど高い専門性が求められる場面が多い。颶風の主要メンバーは世界的タイヤメーカーのブリヂストンの出身で、専門的なタイヤ再生技術と豊富なソリューション経験を有する。オンラインのビッグデータ分析とオフラインのタイヤ技術サービスを融合させ、物流会社にタイヤソリューションを提供することで、利用者はタイヤ使用コストや燃料コストを下げることができ、安全性も向上する。このビジネスモデルなら、颶風の価格決定権も強い。

CEOの吉氏によると、タイヤレンタル事業は新規参入が難しく、現時点での同業者は10社未満で、自転車シェアリングのように参入者が乱立し、無秩序な競争になることはないという。

颶風は金融機関からの融資、および顧客の前払い等によりキャッシュフローを確保している。15社以上のタイヤメーカーから市場価格の7.5~8割の価格で製品を直接仕入れている。また、タイヤの使用寿命を伸ばすリトレッドタイヤ工場のほか、タイヤ回収工場も建設した。

また、颶風はタイヤにICタグを入れ、各タイヤの使用状況、メーカー名、タイヤ溝の深さ、走行距離、価格等のデータをモニタリングしている。データはタイヤメーカーにフィードバックされるため、メーカーは市場の動向と好みを把握し、市場志向型のビジネスモデルの実現に繋がる。

また、こうしたタイヤのIoTセンサーにより収集した情報は、クラウドに送信され自動的に分析される。バックエンドのタイヤ管理システムがオフラインのサービスチームと連携し、タイヤレンタルサービスを通じて、「タイヤのインターネット」を構築している。正確なデータ分析を通じて、各車種に適合するタイヤやメンテナンスサービスを選び、問題発見とソリューションの提供等、より多くの付加価値の高いサービスを提供することが可能だ。すでにロードサービスなど一部のサービスが実現されている。

颶風は16の都市に計30余りのタイヤサービスステーションを設置している。サービスステーションは物流倉庫方式を導入し、各ステーションが所在地の都市全体をカバーできるようになっている。また、これまでは累計で1万本以上のタイヤを再生している。現在、1週間に1ステーションを設置するペースで事業規模を拡大し、すでに黒字化を果たしている。
(翻訳:小六)

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