無人配送車「白犀牛」、物流大手が提携相次ぐ 末端コスト最大5割削減

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

無人配送車「白犀牛」、物流大手が提携相次ぐ 末端コスト最大5割削減

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国の無人配送車スタートアップ「白犀牛(WHITE RHINO)」がこのほど、シリーズBでの追加調達が完了し、累計調達額が約5億元(約100億円)に達したと発表した。物流大手の順豊控股(SFホールディング)や線性資本(Linear Capital)などの既存株主が追加出資したほか、新たに以駿資本や三六零基金なども出資した。SFホールディングが2024年8月の最初の出資以降、1年間に2回の追加出資を実施したことにも注目が集まる。

白犀牛は2019年に設立され、無人配送車とフルスタックの無人配送ソリューションを展開している。共同創業者の朱磊氏と夏添氏は、いずれもネット大手の百度(バイドゥ)の自動運転部門出身。25年3月にはトラック大手の東風商用車の元社長、黄剛氏を総裁に迎えて経営体制を強化した。

乗用車向けの先進運転支援システム(ADAS)の普及により、LiDARをはじめとする自動運転の必須部品の価格は大幅に低下した。また、政府も物流分野での無人車活用を推進しており、現時点で103都市が無人配送車の公道走行を許可している。大規模な公道テストや商用運行が進み、無人配送車の活用によるコスト低減・効率向上の効果が実証されつつある。

白犀牛はスーパーマーケットの商品配送から事業をスタートし、業界大手の永輝超市やアリババ系の盒馬(Hema)と提携した。2023年からは「ラストワンマイル(末端配送)」に重点を置き、企業の配送拠点から宅配ステーションや消費者の手元まで、通常10キロメートル以内の配送を手がけ始めた。これまでの配送では小型トラックなどで1日4〜5往復する必要があり、効率の低さや人件費などが課題となっていたが、無人配送車ならばこれらの課題を解決できる。

主力機種「R5」は、容積5500リットルの荷室に500個以上の荷物を積み込むことができ、1回のフル充電で120キロメートル走行できる。すでにSFホールディングや中通快递(ZTO Express)、極兔速逓(J&T Express)、中国郵政(China Post)などの物流大手が導入し、中国国内100都市以上で活躍している。

現在、同社の無人配送車の稼働台数が急速に伸びている。朱磊・最高経営責任者(CEO)によると、2023年12月の100台足らずから、25年1〜3月期には200台に、4〜6月期には500台に、8月には1000台近くにまで増加した。26年の目標は、1日あたりの稼働台数5000台だという。

運営データからの計算では、無人配送車の導入で顧客の配送コストは3〜5割削減可能だ。湖北省武漢市の宅配事業者では、荷物1個あたりの平均コストを半減させたという。配送車が宅配ステーションまでの輸送を担うことで、配達員は住宅団地での集荷・配達に専念できる。さらに無人車は24時間稼働し、夜間も遠隔操作による配送が可能となる。

近く自動車規格に準拠した新型車の発表も予定している。新たなプラットフォーム(車台)を採用し、現行モデルよりもサイズも荷室容量も大きく、100キロメートル圏内の都市内物流や都市間輸送での活用を見込む。

朱CEOによると、今後は車両販売とソフトウエアのサブスクリプションサービスで収益を上げる計画で、販売台数が1万台に達すれば黒字転換を果たせる見込みだという。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録