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人工知能(AI)搭載したロボットアームなどを開発する中国のスタートアップ「安諾機器人(RobotAnno)」がこのほど、エンジェルラウンドで同創偉業(Cowin Capital)から数千万元(数億円)の資金を調達した。資金は技術改良に充て、飲食や文化観光、商業サービス分野での事業強化を図る。
安諾機器人は2017年に設立され、デスクトップ型ロボットアームおよびAIロボットを活用したスマートリテール向けソリューションの研究開発・生産・販売・サービスを主力事業としている。現在、国家級ハイテク企業と「専精特新(専門化、精密化、特色化、革新化)」企業にも選定されており、特許・実用新案・意匠を含む70件以上の知的財産を保有。製品はすでに中国国内100都市、海外の70カ国・地域で販売されている。
主力製品となるAIコーヒーロボットは、スタッフ3人分の作業が代替できるため、人件費を最大60%削減できるという。手作業によるばらつきがなくなる上、ユーザーが送った画像をラテアートに描くことも可能だ。すでに学校やショッピングモール、オフィスビル、地下鉄駅などで24時間稼働を実現。IoTプラットフォームを通じて世界中の設備の状態をリアルタイムで監視でき、遠隔診断の成功率は95%に上るという。
コア技術は、高精度な運動制御、人工知能(AI)とIoTの高度な融合、モジュール化による柔軟な導入設計にある。
具体的には、モーションキャプチャ技術を通じ、バリスタがラテアートを描く動作を視覚的に捉えて1:1でロボットアームに取り込み、3Dモデリングと機械学習により再現。ロボット本体には航空機グレードのアルミ合金とハーモニック減速機を採用し、繰り返し位置決め精度は±0.03mmで、無人の環境でも高精度な運動制御が可能となっている。
また、独自の制御システムとアルゴリズムにより、コーヒーのクレマ(泡)の厚さやフォームミルクの密度を誤差1%未満で調整可能。高感度センサーにより、原料の使用量を正確に管理し、材料切れを自動通知する。さらにスマートクラウド管理システムを通じてカフェラテやミルクティー、カクテルなどのレシピや配合を遠隔で更新できるため、顧客にプログラミングなどの専門知識は不要。スマートフォンからロボットの点検や管理も可能だ。
今回の調達資金は主に「マルチモーダルセンシング」や「ヒューマン・マシン・コラボレーション」といった技術開発に投じられ、飲食や文化観光、商業サービスといった需要の大きい分野に特化したソリューションを打ち出していくという。サプライチェーン川上から川下までのパートナー企業と協業し、技術インターフェースを開放し、AIロボットの「単体運用」から「システム連携」への進化を推進する方針だ。また、AIモデルによってユーザーの好みに合わせたレシピを生成し、音声注文に対応する「AIバーチャルバリスタ」の発表も予定している。
創業者の黄煌氏は、「無人リテールロボットは『データフライホイール効果』を持つ」と強調する。安諾機器人は自社開発・自社生産でコストを抑え、経済発展途上国を含む幅広い市場に製品を供給可能だ。出荷台数の拡大により使用データが蓄積され、それがモデルやアルゴリズムの最適化に反映される。これにより、現地市場への適応度やサービスレベルがさらに向上するという好循環が生まれるという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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