TikTok Shopで“確かに売れる”仕組みを。日本最大のライブコマース支援拠点「CREOK LAB」始動

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

EXCITEのRSSに登録スタートアップ編集部お勧め記事注目記事36KrオリジナルSPONSORED

TikTok Shopで“確かに売れる”仕組みを。日本最大のライブコマース支援拠点「CREOK LAB」始動

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

2025年9月8日、東京・江東区のオフィス街。無機質なビル外観とは対照的に、きらびやかな照明と最新機材がそろうライブコマース(ライブ配信を活用したオンライン販売)用のスタジオに、200名を超える関係者が集まった。オープンしたのは、TikTok Shop(ティックトックショップ)に特化したライブコマース支援拠点「CREOK LAB(クレオクラボ)」。床面積は約1000平方メートル、15の配信ルームを備え、日本最大級の規模を誇る。

CREOK LABスタジオで事業戦略を語る桜井吉男CEO

売れるかどうか不確かな時代に、確かに売れる仕組みをつくる。それが我々の使命だ」。スタジオを運営するCREOKの桜井吉男CEOは壇上で声を張り上げた。

TikTok Shopが日本に上陸したのは6月30日。わずか2カ月余りで、日本にライブコマースという新たな購買行動が広がり始めている。CREOK LABはその波に乗る企業を支援して、さらに新たな流れをつくろうとしている。

日本最大級のライブコマース専用拠点「CREOK LAB」

潜在力の大きい日本EC市場

日本の消費者はすでにオンライン購入に慣れつつあるが、文化的・制度的な制約から浸透が遅れている。

桜井CEOは経済産業省の調査を引用し、2023年の日本の電子商取引(EC)市場規模は24兆8000億円と過去最高を記録したと述べた。ただ、小売全体に占める比率は9.38%にとどまり「10回に1回しかオンラインで購入されていない」と指摘した。

一方、中国では2022年時点でEC化率がすでに30%を超え、ライブコマースが当たり前の購買チャネルとして根付いている。東南アジア諸国もシンガポールのShopee(ショッピー)や中国アリババグループ系のLazada(ラザダ)の台頭により、20%台に迫る勢いを見せる。桜井CEOは「日本は先進国でありながら、EC化率はまだ一桁だ。これは、伸びしろでしかない」と強調する。

TikTokShop、日本上陸からの急拡大

TikTok Shopが日本でローンチされてから、わずか2カ月で月間流通総額(GMV)は13億5000万円に到達した。年末には1000億円規模に拡大する可能性があると桜井CEOは独自の分析を披露した。

従来のECが「検索して購入する」に対し、TikTok Shopは「コンテンツを見て気づき、欲しくなり、即購入」という衝動型消費を生み出す。特にライブ配信は、相互のインタラクションを通じて消費者の迷いを解消し、その場で購入を後押しするという効果がある。

TikTok Shop Japanゼネラルマネージャー 執行役員の邱開洲氏

イベントに駆けつけたTikTok Shop Japanの邱開洲執行役員は「日本市場で過去最速の成長を達成しており、特にライブコマースが際立っている。CREOK LABの理念はTikTok Shopのビジョンと高度に一致している」と述べ、CREOK LABに公式パートナー認定を授与した。今後はTikTok ShopとCREOK LABが協力し、日本のライブコマース産業を共に進化させていく方針だという。

黒字化できる運営モデル

CREOKを率いる桜井CEOは、TikTokの日本立ち上げのメンバーだった。TikTokのゼロイチを経験し、プラットフォームのアルゴリズムを熟知しているという。会長を務める佐々木健一氏は、20年以上ECを運営し、アパレルブランドを楽天で上位に押し上げた実績を持つ。ASEANでのネットワークを持っており、今後の拡大にもつなげていく。また、COOの岡本昇氏は広告関連業界の出身で、サプライチェーンのスペシャリストだという。

20年以上のEC運営経験を持つ佐々木健一会長(右)

桜井CEOは「全員が経営者経験を持ち、同じ志で集まったドリームチームだ。だからこそ意思決定が速い」と胸を張る。

支援実績も早くも現れている。アパレルブランド「SAISON DE PAPILLON(セゾン・ド・パピヨン)」は、TikTok Shop参入から2カ月で月間GMV2500万円、日商120万円を達成。ショート動画のみのアカウントでも月間1200万円を売り上げた。

「我々は他社との最大の違いはもう既に実績を出している点だ。立ち上げ初月から黒字化できる運営モデルを確立した。裏にはデータに基づく商品トレンド予測があり、数カ月先に流行するアイテムを先にサプライチェーンで押さえ、需要の波に確実に乗れる」(桜井CEO)と説明した。

CREOK LABにセットされた配信ブースの一例

「売れる」仕組みをどうつくるか

TikTok Shopの強みは、ショート動画などのユーザーによる生成コンテンツ(UGC)とアルゴリズムの融合にある。インフルエンサーや一般ユーザーが商品レビューを動画で拡散すると、プラットフォームのアルゴリズムによる推薦システムがトラフィックを押し上げ、一気に販売につながるのだという。

従来のECではあり得なかった「素人の動画が数日で数十万件の売上を生む」という現象が起きる。CREOK LABはその波を可視化、分析し、顧客ブランドに最適な打ち手を提供していく。

しかし、多くのブランドがTikTokShopに関心を持ちながらも、参入には壁もある。①撮影場所・機材の不足。②ブランド世界観に合うクリエイターの発掘困難。③ライブ配信運営・データ活用のノウハウ不足―を桜井CEOは挙げた。

CREOK LABはこれらを一気通貫で解決するという。ライブ配信用に設計されたスタジオは、最先端の多角度カメラやグリーンバックを完備した。ブランドイメージに合致するクリエイター(インフルエンサー)をキャスティングし、さらにTikTokアルゴリズムのメカニズムを熟知した運営チームがデータ分析を行う。「我々は単なる運営代行ではない。コンバージョン請負人として、利益を出す仕組みを提供する」と語る。

スタジオでライブコマースを実施するクリエイター

EC業界の「ゲームチェンジャー」に

TikTok Shopの急成長に、大手ECプラットフォームも警戒を強めている。特にアパレル分野では、既存プラットフォームの顧客の一部がTikTokへ移行しており「3割近くがTikTokに流れた」との声も上がる。業界関係者によると、各社がライブ配信による販売を強化しているものの、コンテンツ起点型消費はTikTokの存在感には遠く及ばないのが実情だ。

日本のライブコマース市場はまだ黎明期にあるが、TikTok Shopの爆発的なスタートダッシュとCREOKなどの支援企業の登場により、参入障壁は急速に下がりつつある。桜井CEOは「これは単なる販売手法ではなく、新しいゲーム」と述べ、従来のECが築いてきた秩序の書き換えを狙う。

「3年でIPOを目指す」桜井CEO

桜井CEOは最後に「3年でIPOを目指す」と明言した。その先には、Amazonのプライムデーに匹敵する独自セール「CREOKショッピングデー」の創設を構想している。

「年に一度、CREOK LAB発のセールイベントを開催し、消費者が自然に参加する文化をつくりたい。単なる販促イベントではなく、TikTok世代の新しい消費習慣として根付かせたい」と意気込みを示した。

創業者及び来賓によるテープカット

(取材・36Kr Japan編集部)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録