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視触覚センサーのスタートアップ「戴盟機器人(Daimon Robotics)」はこのほど、エンジェル++ラウンドで資金調達をした。招商局創投(China Merchants Venture)が主導し、東方嘉富(Oriental Jiafu)と架橋資本(Bridge Capital)も出資した。過去1年間で、3回にわたり資金調達を完了し、累計金額は数億元(数十億円)に達した。触覚センサー分野のエンジェルラウンドとしては過去最高記録を更新した。
戴盟機器人は2023年に設立され、香港科学技術大学ロボット研究院の初代院長である王煜教授と段江嘩博士が共同で創業した。深圳に本社を置き、香港に研究開発(R&D)センターを有し、高性能な視触覚認識と操作技術の研究開発と産業化に力を入れている。
エンボディドAI(身体性を持つロボット)が着実に実装されるプロセスにおいて、ロボットは「動ける」から「働ける」へと進化する必要がある、というのが業界の共通認識だ。工業製造、スマート物流、医療、リハビリなどのタスクでは、より高い操作精度、柔軟性や未知の状況に対応できる汎化能力が求められる。
しかし、視覚に依存するロボットは、スムーズにモノをつかむ、精密な組み立て、相互に連動といった複雑な任務では依然として限界がある。既存の触覚センサーも解析能力、多様な信号の取得、耐久性やコストの面で制約があり、長期に渡ってロボットが高精度な作業を続ける能力的なボトルネックとなってきた。そのため、解析能力の高い触覚センサーは、ロボットの操作能力を高める鍵と見なされている。

長年の技術的な蓄積に基づき、戴盟機器人は単色光を用いた視触覚方式を打ち出した。マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発されたGelSight方式で一般的な三色光を使う手法と比べ、単色光方式は演算量と発熱を抑え、長時間の稼働を可能にしている。
同社が独自開発した視触覚センサーは、1平方センチメートルあたり4万もの感知ユニットを有しており、人間の指先の240ユニットをはるかに上回る。従来のマトリクス状に配置された触覚センサー(アレイ型センサー)の数百倍に達し、形状、表面の質感(肌触り)、硬さ、滑りやすさ、押した際の圧力、接触面で動かす力(接線力)などの多様な情報を高精度に捉えることができる。

さらに、同社はすでに物をつかむ機構のグリッパーからミリ単位の指先まで対応する複数の製品を開発している。旗艦センサーは500万回の押圧テストをクリアし、欧州連合(EU)で販売する基準に適合していることを示すCE(Conformité Européenne)や、米国の連邦通信委員会(Federal Communication Commission、FCC)の認証を取得した。発表からわずか3カ月以内に、国内外で導入され、1000個単位の規模で出荷された。工業検査やスマート物流、製造、サービスといった場面で活用が進む。
視触覚認知に基づき、戴盟機器人は「認知―操作―学習」のすべての工程の製品マトリクスを構築した。
「DM-Tac W」:表面の質感(肌触り)、滑りやすさ、硬さを識別できる高い解析能力の視触覚センサー
「DM-Hand1」: 指先に超薄型の視触覚センサーを統合した高機能な手の機構
「DM-EXton」:データ収集とモデル学習向けのウェアラブル装置が含まれる
視触覚を統合することで、操作モデルが必要とするデータ量は従来の1000分の1に減り、業務の種類のカバー範囲と作業の成功率が大幅に向上する。
段CEOは、触覚認知と高性能な操作を核とし、エンボディドAI(ロボット)をより多くの産業に実装し、ロボットを実際に活用できる価値を広げていきたいと述べた。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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