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中国スマートフォン大手シャオミ(Xiaomi)が2024年に初の電気自動車(EV)「SU7」を発表した際、雷軍CEOが特に力説したのが、直射日光への対策だった。
SU7では、サンルーフとフロントガラスには多層の銀コーティングを施し、紫外線(UV)と赤外線(IR)を97.6~99.9%カット。さらに、サイドガラスにもUV・IRカットコートを採用し、合計5.35平方メートルに及ぶ車載ガラス全面で遮光性能を実現した。その効果はユーザーにも実証されており、炎天下に1時間半放置した際、SU7の車内温度はテスラのModel 3より12℃も低かったという。
2025年に登場した新型SUV「YU7」では、UV・IRカット機能がさらに進化した。上位モデルの「YU7 Max」には、光の透過率を調整できる調光サンルーフが標準装備されており、UV・IRのカット率は99.99%、遮光率も99.85%と極めて高い性能を実現している。
その背景には、背景には、調光ガラス分野における技術革新がある。YU7の調光サンルーフは、電圧を変化させることでガラスの透過率を変える「エレクトロクロミズム」を採用している。技術自体は目新しいものではないが、材料や製造プロセスの制約から曲面のある大きなガラスに応用するのは難しく、青みが強いこともネックとなり、これまで自動車分野では活用が進んでいなかった。
しかしYU7では透明モードで夜空の星も見えるほどクリアで、遮光モードでは均一な黒に変化する。1.6平方メートルの大面積、かつ大きなアーチを描く形状であることを考えると、加工難易度や製造技術の高さがうかがえる。

革新サンルーフを可能にした立役者「光羿科技」
この調光サンルーフを手がけたのは、2017年に設立の「光羿科技(Ambilight)」だ。米シリコンバレーと広東省深圳市に研究開発(R&D)センターを構え、エレクトロクロミック材料や光学フィルムなどの開発・生産に注力している。
シャオミの求める高いUV・IRカット率や明暗コントラストに応えるべく、光羿科技はシャオミと共同で開発を進め、大面積の曲面ガラスにコントラストの高い調光機能を持たせることに成功した。
光羿科技の何嘉智CEOによると、YU7の調光サンルーフは遮光状態にすると太陽光のまぶしさを大幅に軽減し、40℃の炎天下でも室内温度の上昇を抑えられるという。ガラスは落ち着いた黒色になり、車内の上質な雰囲気作りにも貢献する。
調光ガラスの技術的アプローチはいくつかある。主流の液晶(LC)方式は瞬時に色が変わり、ジェスチャーによる調光にも対応できるが、液晶分子の特性上、自動車のサイドガラスなど湾曲の少ないガラスにしか応用できない。
一方、光羿科技が開発した第4世代エレクトロクロミズム技術は、ガラスのサイズや曲率を問わず、特殊形状のガラスにも対応できる。遮光率99.85%、UV・IRカット率99.9%と優れた性能を発揮し、車内温度の上昇や内装劣化を引き起こす光線を効果的にカットする。変色速度はLC方式に若干劣るものの、日常的な使用に支障はなく、消費電力やUVカット・遮熱性能、視覚的な快適さで言えばはるかに優れている。
現在、調光ガラスは一部の高級車に標準装備されるようになっている。何CEOによると、製品コストはすでに自動車メーカーが妥当と考える水準まで下がっており、将来的には15万元(約310万円)以上の全ての乗用車に調光ガラスを搭載できるようにし、UVカットや遮熱性能を一般ユーザーにも広めることを目指すという。
*1元=約21元で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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