ファーウェイ、世界最強の演算システム構築へ。AIチップの長期戦略も発表

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中国通信機器大手ファーウェイの年次イベント「HUAWEI CONNECT 2025」が、9月18日から20日にかけて上海市で開催された。徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は基調講演で、ファーウェイがAI処理に必要な大規模演算能力のボトルネックを克服したと宣言し、未来を見据えたAIチップシリーズと世界最強の演算能力を持つAIコンピューティングクラスター「SuperPoD(スーパーポッド)」を発表した。

徐氏はスピーチの冒頭で、年初にDeepSeekが巻き起こしたAIブームに触れ、ファーウェイは自社開発のAIチップ「Ascend 910B」と「Ascend 910C」の推論能力を高めるために力を傾けたと説明。春節(2月)から4月末まで社内の複数チームを動員した結果、ついに顧客の基本的なニーズを満たせる水準に達したという。さらに、DeepSeekの技術的アプローチが演算力への依存を軽減したとはいえ、汎用人工知能(AGI)やフィジカルAIの未来を切り開くうえで、原動力となるのはやはり演算能力だと指摘した。

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長期的なチップ戦略、2028年までのロードマップ公開

ファーウェイは2018年に同社初のAIチップ「Ascend 310」を発表、翌19年に「Ascend 910」を投入し、AIを支える演算能力の開発と技術革新に継続して取り組んできた。今イベントでは長期戦略として、26年から28年にかけてAscendシリーズの「 950」「960」「970」を順次リリースする計画を明らかにした。

ファーウェイのAIチップ「Ascend」シリーズのリリース計画

Ascend 950は前世代に比べ、抜本的な技術改良が施されている。新たにFP(浮動小数点)8やFP4といった低精度のデータフォーマットに対応し、処理速度はFP8で1 PFLOPS(ペタフロップス)、FP4では2 PFLOPSに達し、学習や推論の効率を大きく高めた。

汎用コンピューティング向けCPU「Kunpeng(鯤鵬)」シリーズについても、2026年10〜12月期に「Kunpeng 950」、28年1〜3月期に「Kunpeng 960」のリリースを予定している。

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世界最強の演算能力を持つ「SuperPoD」

徐氏は、ファーウェイ製チップの演算能力が単体では米NVIDIAにかなわないことを率直に認めつつも、「30年に及ぶ接続技術のノウハウを結集させたファーウェイのスーパーポッドシステムは世界で最も高い演算能力を実現し、AIの学習や推論で必要とされる世界的なAI処理のニーズを満たすことができる」と力を込めた。

複数のチップや計算ノードを連結して大規模な演算能力を実現する「スーパーポッド」は現在、AIコンピューティングの発展における重要なトレンドとなっている。ファーウェイは今回、「Atlas 950 SuperPoD」と「Atlas 960 SuperPoD」という2つのスーパーポッドを発表した。Atlas 950 SuperPoDはAscend950チップを8192個搭載し、処理速度はFP8で8 EFLOPS(エクサフロップス)、FP4では16 EFLOPSに達する。

ファーウェイが発表した「Atlas 950 SuperPoD」

Atlas 950 SuperPoDは2026年10〜12月期の発売を予定しており、徐氏はこれが26~28年に世界で最も高い演算能力を誇るスーパーポッドになると強調する。

2027年10〜12月期に発売が予定されているAtlas 960 SuperPoDは、1万5488個のチップを搭載し、演算能力やメモリ、帯域幅のいずれもAtlas 950を大幅に上回る性能になるという。

スーパーポッドは複数の物理デバイスを連結して1つのシステムとして動作させ、高効率な学習や推論を可能にする技術だ。徐氏は、製造業や通信分野で活用できるほか、インターネットのレコメンドシステムなどの分野でも強みを発揮できると語った。

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(翻訳・畠中裕子)

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