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米経済誌フォーブス(中国版)は11月7日、2019年版の中国長者番付を発表した。中国の富豪400人を保有資産で順位付けしたもので、番付入りの基準は保有資産70億7000万元(約1060億5000万円)以上と昨年の58億元(約870億円)を上回り、2017年の水準に戻った。
アリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が今年もトップの座を維持し、保有資産は昨年の2387億4000万元(約3兆5811億円)から2701億1000万元(約4兆517億円)に膨らんだ。IT大手、テンセント(騰訊)最高経営責任者(CEO)の馬化騰(ポニー・マー)氏が2545億5000万元(約3兆8183億円)、不動産開発大手「恒大集団(Evergrande Group)」董事局主席の許家印氏が1958億6000万元(約2兆9379億円)で続いた。
上位3人の顔ぶれに変化は無く、順位も変わらなかった。最も目覚ましい動きを見せたのがソーシャルEC大手の「拼多多(Pinduoduo)」CEOの黄峥氏で、順位を5つ上げて第7位につけ、上位10人の仲間入りを果たした。昨年以降、拼多多の株価は91%上昇しており、黄氏の保有資産も株価上昇を受けて約100億ドル(約1兆900億円)膨らみ、昨年の776億3000万元(約1兆1645億円)から1499億元(約2兆2485億円)に増加した。
中国IT大手「ネットイース(網易)」の丁磊(ウィリアム・ディン)CEOは保有資産1216億2000万元(約1兆8243億円)で第8位、ショート動画アプリのTikTokなどを運営する「バイトダンス(字節跳動)」の張一鳴CEOは1145億5000万元(約1兆7183億円)で第10位につけた。
今年初めて番付入りした富豪の中には、今年上場を果たした企業の創業者が2人含まれている。一人は菓子メーカー「三只松鼠(Three Squirrels)」董事長の章燎原氏で保有資産は約111億7000万元(約1675億5000万円)、もう一人はソフトウエア開発の「虹軟科技(ArcSoft)」董事長の鄧暉氏一族で保有資産は70億7000万元(約1060億5000万円)だ。
だが、新規株式公開(IPO)は諸刃の剣でもある。株価の変動が富豪の保有資産を直接左右するためだ。
スマホメーカーのシャオミ(小米科技)は2018年7月9日に香港上場を果たした。初値は公募価格を割り込み、株価はその後も下げ止まらず、これまでに30%以上下落している。このため、シャオミCEOの雷軍氏の保有資産は今年、昨年の821億1000万元(約1兆2317億円)から615億2000万元(約9228億円)にまで目減りした。同社幹部の洪峰氏、黄江吉氏、黎万強氏はいずれも番付から外れた。
スター性のある起業家の中では、新興電気自動車(EV)メーカー「蔚来汽車(NIO)」の李斌CEOも株価下落のあおりを受けている。シャオミ上場の2カ月後、NIOも米ニューヨーク証券取引所に上場、中国で最初に米国上場を実現した新興EVメーカーとなった。だが、今年に入ってからNIOの株価は下落が続き、李氏の資産も大幅に減少した。
番付された富豪400人のうち、保有資産が昨年より増えたのは半分以上。13人が横ばい、4分の1は減少した。
バイドゥ(百度)CEOの李彦宏(ロビン・リー)氏の今年の保有資産は昨年の1007億4000万元(約1兆5111億円)から537億4000万元(約8061億円)にまで減少。順位は第8位から第35位に後退した。不動産開発大手「大連万達集団(ワンダ・グループ)」創業者の王健林氏も1566億3000万元(約2兆3495億円)から883億9000万元(約1兆3259億円)に減少、順位を第4位から第14位に落とした。また、中国自動車市場の低迷を受け、自動車メーカー「吉利汽車(GEELY)」を傘下に抱える「吉利集団(GEELY GROUP)」董事長で、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボ・カーズの主要株主でもある李書福氏の保有資産も979億8000万元(約1兆4697億円)から912億1000万元(約1兆3682億円)に減少した。なお、今年は80人以上の富豪が株価下落により番付から外れた。
フォーブスによると、中国長者番付に使用した保有資産に関する情報は富豪個人及びその家族、証券取引所、アナリスト、監督当局から取得したものだという。世界長者番付とは異なり、中国長者番付では夫婦で事業を経営する場合、両方の名前で順位づけされる。一部の推計にはその他の家族が保有する資産も含まれている。
(翻訳・池田晃子)
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