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ロボット開発を手がける中国スタートアップ「鏡識科技(MirrorMe Technology)」はこのほど、シリーズAで常春藤資本(Ivy Capital)から数千万元(数億円)を調達した。資金は技術開発の強化に加え、消費者向けおよび産業向けロボットの量産と市場投入に充てる方針だ。
近年、AIロボットの実用化に乗り出すスタートアップが続々と登場している。2024年5月に設立された鏡識科技もその一つだ。創業者兼CEOの王宏涛氏は清華大学とハーバード大学で博士号を取得し、現在は浙江大学の教授を務めている。
同社は2025年初め、自社開発の四足歩行ロボット「Black Panther(黒豹)2.0」が、秒速10.9メートルという驚異的な速度を記録したことで業界の注目を集めた。米ボストン・ダイナミクスの「WildCat」が10年以上保持してきた秒速8.89メートルの記録を塗り替え、人間の短距離走者に迫る運動性能を実証した。
現在、主力製品として、家庭向けAIロボット「BAOBAO」、産業用四足歩行ロボット「Apollo」、教育・研究現場向け四足歩行ロボット「Black Panther」の3タイプを展開している。
今年の戦略的製品と位置づけるBAOBAOは、スタンディングモードと四足歩行モードを自在に切り替えられる設計で、家庭内の多様なシーンに対応する。四足歩行モードではユーザーを自動追従し、リビングや寝室を移動する際に寄り添ってくれる。スタンディングモードでは、テーブルサイドで静かに対話したり、子どもの学習を近くで見守ったりと、心地よい距離感でのやり取りが可能。頭部のディスプレーに表示される多彩な表情やアニメーションを通じて、人との情緒的なつながりも演出する。
産業現場に特化して開発されたApolloは、静止時で140キロ超、歩行時でも40キロ以上の荷重に耐え、極低温環境下でも安定動作を維持する。電力設備の巡回点検、緊急救助、工場内作業など幅広い用途を想定。最大連続稼働時間は無負荷で5時間、20キロ積載時でも4時間に及ぶ。車輪式ロボットが苦手とする長い階段や岩場にも対応し、モジュール設計によって保守性を高めたことで、稼働停止時間と運用コストを大幅に削減した。
そして「世界最速」の四足歩行ロボットBlack Panther 2.0も、特殊作業や緊急救助の現場で導入が始まっている。
鏡識科技は人型ロボットの開発も並行して進めており、3年以内に人間の運動能力を上回るロボットの実現を目指す。まずは危険環境での活用から着手し、その後、産業用・家庭用へと応用範囲を拡大する計画だ。
王CEOは、海外企業と比べて中国企業の商用化・実用化のスピードが速いことに言及しつつ、「ロボットを実際に工場や家庭に浸透させるには、製品の安定性、コスト管理、整ったサプライチェーンが欠かせない」と指摘。その上で「中国勢は産業基盤の充実と迅速な対応力で優位に立つ一方、業界全体の熱狂に踊らされない冷静さも求められる」と述べた。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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