36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
リハビリ支援・介護ロボットを開発する中国スタートアップ「如身機器人(RobotGym)」はこのほど、追加のエンジェルラウンドで数千万元(数億円)規模の資金調達を実施した。出資者は力合金融(Leaguer Financial)。資金はコア技術の改良や製品の量産化、介護現場での大規模な試験的導入などに用いられる。また、プレシリーズAの調達計画にも着手している。
創業者の師雲雷CEOは、ドイツ工学アカデミー会員の張建偉氏に師事し、医療用ロボットを大手の微創医療(MedBot)で手術支援ロボット制御システムの開発を主導した経歴を持つ。同社のコアメンバーは、最先端の人工知能(AI)ロボット研究所や欧州のユニコーン企業Agile Robotsなどの出身者だ。
師CEOは、「汎用性があり高度に自動化された介護ロボットの需要は急速に拡大している」と指摘。近年では大規模言語モデル(LLM)の進化により、ユーザーの自然言語による複雑な指示を理解し、タスクを順序立てて実行できるようになったことで、家庭向け汎用介護ロボットの普及可能性が高まっているという。
リハビリ&介護ロボットを展開、多様なニーズに対応
如身機器人は、現場のさまざまなニーズに対応するため、多機能型リハビリ支援ロボット「格物(UniGym)」と介護ロボット「斉家(Qijia)」を展開している。
「UniGym」は軽量設計で、主に自宅での上肢・下肢リハビリに活用される。ユーザーごとのリハビリ計画に対応し、パラメータのリアルタイム調整やレポートの確認などもできる。すでに1000台以上を量産し、北米・欧州・東南アジア市場への出荷が進んでいる。また、世界各地での利用環境データをもとに、AIの学習や製品改善に反映している。
師CEOは、「高度な介護AIの実現には、触覚・力覚などのマルチモーダルデータの大量収集が欠かせない」と強調。そのため商用化を早期に進め、製品を多く供給することで、データ収集ネットワークを構築し、技術改良の先手を打つ戦略を取っている。
「Qijia」は独居高齢者や要介護者の生活支援を目的として開発された。主力機種「Q1」は、移動補助・コミュニケーション・自動介護の3つの中核機能を備える。
同社の調査によると、多くの介護施設では高齢者が「外出して散歩したい」と希望する一方、人手不足により実現できないケースが多いという。ナビゲーションや障害物回避機能を備えた移動支援ロボットにより、高齢者の安全な自立行動が可能になると期待されている。
さらに「Qijia」には同社独自のマルチモーダルAIが搭載されており、ユーザーと自然な言葉で対話することができる。高齢者とのコミュニケーション支援に加え、服薬リマインダーやスケジュール管理といった生活アシスタント機能も備える。師CEOは、「介護ロボットは今後、複数のソフトウエアを統合する家庭内デバイスとしての役割を果たすだろう」と述べる。たとえば、回顧録の作成や日常生活の記録を家族に共有するなど、家族間のコミュニケーションや健康管理を支援する存在としての可能性を示した。
「自動介護」実現に向けた段階戦略
自動介護は、介護ロボットで最も難しいと同時に最も価値ある機能だ。自動運転のように5段階に分類すると、レベル1~2では非接触もしくは軽い接触を伴う低リスクのタスクを実行し、音声指示に応じてコップや薬、食事を運ぶことが含まれる。レベル3では、ユーザーの立ち上がり補助や自宅リハビリ支援が遂行できる。レベル4~5では、転倒時の介助や救急対応など、繊細な力の制御が求められる接触型のタスクを実行する。
師CEOは「レベル3以上の実現にはあと5年程度を要する」との見通しを示す。同社は現段階では完全自律式ではなく、AIと遠隔操作を組み合わせたハイブリッド方式を採用し、実用性と安全性を両立させている。
設計にあたっては安全性を最優先とし、安定性に優れた車輪式シャーシ構造を採用した。重心を低く保つことで高い機動性を確保し、敷居やカーペットの上でも安定走行ができ、転倒リスクを最小限に抑える。また、ロボットアームも多様なリスクを想定して安全対策が施されており、将来的には遠隔非常停止スイッチの搭載によって、さらなる安全性の向上を図る計画だ。
如身機器人はすでに、中国の主要な高齢者施設との試験導入パートナーシップを締結中。IT大手のテンセント(騰訊)が推進する高齢者支援テクノロジー計画「銀髪科技パートナー計画」にも採択された。2026年をめどに製品の標準化と量産化を進めていく。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録





フォローする
フォローする



