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中国の主な新興電気自動車(EV)メーカーが、2025年9月の新車販売(納車)台数を発表した。零跑汽車(Leap Motor)は初の6万台超えを達成し、首位の座を盤石にした。2〜4位は小米汽車(Xiaomi Auto)、小鵬汽車(XPeng Motors)、問界(AITO)の順で、いずれも4万台超の大接戦となった。小米が2位に急浮上する一方で、前月4位の蔚来汽車(NIO)は5位に順位を落とした。大部分のメーカーが前年同月比で販売台数を大きく伸ばす一方で、理想汽車(Li Auto)だけは37%減と振るわず6位にとどまった。
1位:零跑汽車
零跑汽車(Leap Motor)の9月の販売台数は前年同月比97%増の6万6657台だった。主力の「C10」は10万元(約210万円)台の低価格も人気の要因となり、新興勢が打ち出す中型SUVの販売ランキングで4カ月連続のトップを獲得した。
10月には、新たな技術プラットフォームとフラッグシップモデル「D19」を発表し、市場にその価値を問う計画だという。
2位:小米汽車
スマートフォン大手の小米集団(シャオミ)が手がける「小米汽車(Xiaomi Auto)」は、9月の販売台数が4万台を上回った。詳しいデータは明らかになっていないが、業界予測の4万2000台前後が正しければ、前月の5位から2位に急浮上したことになる。
課題だった生産能力の拡大が軌道に乗り、セダンタイプの「SU7」とSUVタイプの「YU7」の納車が順調に進んだ結果だ。しかし、同社は依然として受注残を抱えており、今後も販売台数を伸ばす可能性が大きい。
3位:小鵬汽車
小鵬汽車(XPeng Motors)の9月の販売台数は、前年同月比95%増の4万1581台と過去最高を記録した。うち低価格路線の第1弾モデル「M03」が1万台超と好調だったほか、「G7」や「P7」などコストパフォーマンスを重視したモデルも販売台数を伸ばしている。
4位:AITO
自動車中堅の賽力斯集団(SERES)がファーウェイと共同開発したEVブランド「問界(AITO)」の9月の販売台数は、前年同月比14%増の4万619台だった。
AITOは30万元(約630万円)以上の高級EV市場で確固たる地位を確立しており、9月下旬に発売されたSUV「M7」の新モデルの売れ行きにも注目が集まる。
5位:NIO
蔚来汽車(NIO)の9月の販売台数は前年同月比64%増の3万4749台となった。同社は10万〜40万元(約210万〜840万円)台をカバーする全価格帯戦略をとっており、9月はメインブランドの「NIO」が1万3728台、セカンドブランドの「楽道(ONVO)」が1万5246台、サードブランドの「蛍火虫(firefly)」が5775台といずれも好調だった。
6位:理想汽車
理想汽車(Li Auto)の9月の販売台数は前年同月比37%減の3万3951台だった。同社はレンジエクステンダーEVを主軸とすることで差別化に成功し、2024年は新興勢トップの座を獲得したが、現在はバッテリーEV路線への転換を図っている。
9月は新興勢の大部分が販売台数を伸ばすなか、コストバフォーマンスの高さで人気の零跑汽車が圧倒的1位、爆発的に伸びるシャオミが2位、小鵬汽車とAITOが僅差で続いた。
淘汰が進む中国EV業界で、各社ともコストコントロールや技術力、市場ニーズに合わせた製品開発でしのぎを削っている。振り返ってみれば、2024年9月は理想汽車が1位、AITOが2位、零跑汽車は3位だった。新興勢最大の勝者がどのメーカーになるのか、まだ予断は許さない状況だ。2025年も残り3カ月。零跑汽車が逃げ切るのか、さらなる順位変動があるのか、10月の販売台数に注目したい。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部・田村広子)
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