DJI出身者が開発、形状記憶合金で次世代冷却技術——ウェアラブルから車載まで活用

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形状記憶合金(SMA)の開発を手がける中国のスタートアップ「元相科技」はこのほど、ベンチャーキャピタルファームBrizan Venturesなどから数千万元(数億円)規模の資金調達を実施し、企業評価額が1億元(約20億円)に達した。資金は主にチーム構築、製品開発、生産設備の購入、市場開拓に充てられる予定だ。

元相科技は、モーターメーカーの深圳市一晤未来科技(evowera)の子会社として設立された。創業者の白睿氏は、ドローン大手・大疆創新(DJI)のモーター制御チームの責任者を務めていた。親会社の技術資産を活かし、形状記憶合金を応用した冷却・加熱技術の商用化を推進している。開発する形状記憶合金は、相変態を通じて熱エネルギーと機械エネルギーを効率的に変換するもので、冷却性能の指標となる成績係数(COP)は実験段階で逆カルノーサイクルの理論値に近づく水準を実現した。

白氏は「従来のコンプレッサー技術にはサイズや騒音、環境負荷などの課題があり、特にアウトドア機器やウェアラブル、車載機器などでは、携帯性と静音性を兼ね備えた冷却ソリューションが求められている」と指摘する。

元相科技の形状記憶合金ソリューションは、従来の冷媒方式に比べてサイズと騒音を大幅に削減しながら、冷却効率と携帯性に優れ、環境負荷も低い。白氏によると、実験では常温の水を数分で約5度まで冷却することに成功したほか、バッテリーでも効率よく作動し、ポータブルデバイスやアウトドア用途での活用ポテンシャルが実証されたという。

現在、初代製品の開発を進めており、2026年に海外市場での発売を予定。液体の急速冷却を可能にする製品で、価格は約100ドル(約1万5000円)前後を見込む。

形状記憶合金は主に航空宇宙分野向けに開発されてきたため、民生用途での商用化はほぼ進んでいなかったが、元相科技は製品化に向けて力を注いでいる。「材料自体の研究はほぼ完了しており、現在はその特性に基づく製品形態を定義し、熱伝導や流体力学、構造設計といった工学的課題の解決を進めていく」という。

同社はまず一般消費者向け製品を投入し、商業的な実証を行った上で、車載機器の熱管理やサーバーの液冷など産業用途への展開を目指す。中南大学材料学院との提携を通じ、冶金・金属材料分野の知見を活用して独自の製造プロセスを確立した。

当面は自社ブランド製品による市場検証を行い、将来的には製品のモジュール化によって多様な業界への応用を図る方針だ。白氏は「冷却・加熱分野のすべてを自社で網羅するのは難しいが、モジュール化によって他業界との連携を広げたい」と展望を語った。

*1元=約21円、1ドル=152円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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