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高性能な四足歩行ロボットで知られる中国のロボットメーカー、雲深処科技(DEEP Robotics=ディープ・ロボティックス)は、10月9日に産業向けの最新人型ロボット「DR02」を発表した。
DR02は、国際電気標準会議(IEC)が定める防水・防じん性能の等級「IP66」を取得し、全天候の屋外作業に適応できる世界初の人型ロボットとされている。高い運動性能や感知機能、高演算能力を備えるほか、一体的なモジュール化設計を採用し、警備パトロールや工場作業などの厳しい場面での活用を想定している。
優れた運動性能と環境適応力
DR02の最大の技術的ブレークスルーは環境適応能力の向上だ。防水、防じん性能に加え、稼働可能な温度はマイナス20℃~55℃と広く、冷凍倉庫や高温の作業場といった過酷な環境下でも作業を継続できる。
構造面では、身長175cm、腕の長さ68cmと人間に似せた設計を採用しており、人が行う作業環境にそのまま適応できるため、代替しやすい。運動性能は、標準歩行速度1.5m/s、最大速度4m/sを実現。25cmの段差や勾配が20度の坂も安定して登れる。両腕で10kg、全体で20kgの荷重に対応し、貨物搬送や緊急装備の受け渡しなどの作業もこなせる。また、運用や保守の効率を高めるため、腕や脚の左右共通化によるモジュール式の交換構造を採用。部品の着脱が容易で、整備時間とコストの大幅削減を実現した。
センサーなども充実させている。275TOPSの演算ユニットとマルチセンサー融合システム(LiDAR、深度カメラ、広角カメラ)を搭載。リアルタイムで環境を認識し、経路計画から意思決定までを自律的に行う。さらに、ソフトウエアのアップデートを通じて継続的に認知のレベルを向上させ(エンボディドAI(身体を持つAI)の実用化を後押しする。「杭州六小龍」の実力
ディープ・ロボティックスは2017年に設立され、本社は浙江省の杭州市にある。話題のAI企業「DeepSeek」と並び、「杭州六小龍」と呼ばれる杭州市の次世代テック企業群の一角を占めている。
四足歩行ロボット分野で技術的に先行しており「絶影X30」「山猫M20」「絶影Lite3」などの主要製品は、発電所の巡回、工場作業、緊急救援や消防、物流配送などのシーンですでに実用化されている。
今年2月、「絶影X3」は湖南省長沙市の消防救助隊に正式導入された。複雑な環境でも障害物を軽々と乗り越え、最高速度は毎秒5メートルに達する。遠隔操作と双方向通話機能を備え、火災現場で有害ガスの検出や、リアルタイムの地図作成などを通じて、救助隊員の活動を支援している。
4月、険しい地形や危険環境に対応する新型四足ロボット「山猫M20」を発表した。車輪と脚を併せ持つハイブリッド構造で高速移動と高い機動性を両立させている。自重は33kg、マイナス20℃から55℃の温度範囲で稼働可能だ。最大80cmの高台を登り、自律ナビゲーションと全方向障害物回避も実現。

7月、ディープ・ロボティックスはおよそ5億元(約107億円)の新たな資金調達ラウンドを完了した。達晨財智(Fortune Capital)と国新基金(China Reform Fund)が出資を主導し、北京ロボット産業発展投資基金(Beijing Robotics Industry Development Investment Fund)、前海母基金(Qianhai Mother Fund)など複数の著名機関も参加した。資金は、技術・製品開発、応用シーンの拡大、人材採用などに充て、四足歩行ロボット分野でのリーディングカンパニーとしての地位を一層強化するとともにに、人型ロボットや車輪ロボットなど新製品の商業化を加速させる方針だ。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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