採血管1本だけで複数のがんを早期発見、血液中マイクロRNAによる診断法とは

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2019年11月26日〜27日、スタートアップやIT業界に特化した中国の最大級メディア「36Kr」が、北京国際会議中心(China National Convention Center)において「2019WISE 新商業大会」を開催した。同大会で、北京覓瑞科技有限公司の呉依凡CEOが、マイクロRNA(miRNA)の検査測定技術をがんの早期診断、早期治療に応用する技術と採血管1本分の血液で複数のがんを早期発見する検査方法についてスピーチした。この研究をベースに、同社は2020年採血管1本分の血液で健康状態を管理できる製品をリリースし、がん検査製品が健康診断と臨床領域で活用されることを目指している。

以下は呉依凡CEOのスピーチを整理した内容である。

中国はもとより世界中でがんに代表される重大疾病が増加し続けている。皆さんご存じの通り、がんは進行してしまうと治療が困難な上に莫大なコストがかかる。しかし、がんに限らず、重大な疾病でも早期に発見することができれば、結果は大きく異なる。

2000年頃、私たち科学者は血液中にマイクロRNA、つまり微小なリボ核酸を発見した。マイクロRNAは人の健康をコントロールする物質の一つで、80%の病気にマイクロRNAが関与している。つまり、もし私たちがマイクロRNAの変化状況をうまく把握できれば、いろいろな病気の発生リスクを明確に予測できるということだ。しかし、それは容易ではない。その理由は以下の2つだ。

まず、マイクロRNAが非常に小さいこと。つまりマイクロRNAをどのように検出するか、この技術が非常に難しいのだ。

2つ目に、マイクロRNAの種類の多さがある。マイクロRNAは人体に2600種以上あり、血液検査で、白血球が増加していれば炎症があり、正常値ならば炎症なし、というような簡単なものではない。2600種類以上のマイクロRNAが体内で刻々と変化する中、イレギュラーな配列や分布から病気の発生の可能性を判断することになる。

私たちは一連の実験の後、まずマイクロRNAとがん予測との関係を研究することに決めた。なぜなら、がんは人に大きな影響を及ぼす病気であり、早期がんと進行がんでは人の健康に与える結果が全く異なるからだ。

より多くの人にがん早期スクリーニングを活用してもらうためには、3つの条件を備えた製品が必要だ。

1.より正確であること。被検者ががんになる傾向が上昇しているかどうかを正確に告知できるデータが必要である。

2.より早期に診断できること。診断が遅くなれば、それだけ治療効果も下がる。

3.リーズナブルであること。優れた技術のがん早期スクリーニングは1回3万元(約46万円)する。一般家庭には高すぎるし、この価格では毎年検査をするのは難しい。

覓瑞科技の研究チームは20年近くマイクロRNAを研究している。弊社は科学顧問にハーバード大学のFrank Slack教授を迎えており、彼は人間の血液中にマイクロRNAが存在していることを発見したマイクロRNA研究の第一人者である。私たちは2002年からシンガポールでマイクロRNAの体内での変化と健康との関係について研究を続け、2014年になって研究の商品化のため会社設立を決定した。

2016年には、中国の人々にもがんの早期診断を利用してもらおうと、杭州に中国国内研究センターと生産工場を設立し、国内向けプロモーションとサービス開始の準備を始めた。

覓瑞科技はがんの早期スクリーニング以外に、全世界の研究機関へマイクロRNA試薬の提供も行っている。現在、34カ国で弊社の試薬を使用したマイクロRNAおよび関連分野の研究が行われている。2016年以降は、中国の50以上の中核病院と科学研究プロジェクトで協力してきた。

まとめると、私たちが現在行っている業務は4つある。(1)世界中の研究機関などへの試薬提供(2)病院における医師の早期がん診断サポート(3)保険や金融関係の顧客へのワンランク上のサービス提供(4)これは将来のことになるが、健康リスクの予測。

覓瑞科技のビジョンは、「生命のダイナミックグラフを作成し、グローバルな疾患予測をリードする」ことだ。自分の健康状態がもっと早く分かれば、さまざまな方法で病気の発生や進行を防ぐことができ、「生命は予測可能になる」。これが覓瑞科技の仕事であり、私たちはより多くの人が共に戦ってくれることを期待する。
(翻訳・永野倫子)

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