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中国の電動航空機メーカー「維新宇航(Vision Aero)」がこのほど、シードラウンドとエンジェルラウンドで計1億元(約20億円)近くを調達した。資金は電動垂直離着陸機(eVTOL)「Vector 5」の試験飛行の準備、耐空証明の取得、生産ラインの構築に充てるほか、ハイブリッドモデルの技術検証や電動固定翼機(eCTOL)「Vector 11」の開発にも投じる方針だ。
維新宇航は2023年に設立され、多人数の乗客や貨物を運べる電動航空機の開発・製造に注力している。主力製品のVector 5は7人乗りの3トン級のeVTOLで、純電動モデルとハイブリッドモデルがある。最大離陸重量3180kg、航続距離300km、巡航速度250km/hで、2025年6月には実寸大の試作機がラインオフしており、年内には貨物搭載試験を完了する見通しだ。また、開発中の次世代製品Vector 11は3トン級の11人乗りeCTOLとなる。
創業者の何威氏は航空分野の連続起業家で、中国と米国のパイロット資格および教官資格を有する。同社は試作機の開発を5分の1、4分の1、2分の1スケール、実寸大の順に進める方法を採用。Vector 5については、すでに4分の1スケール試作機の売上高が1000万元(約2億円)に上り、山東省の国有企業やインドネシアの製造企業など5社に納入されている。

世界の垂直離着陸機市場を50年近くさかのぼって人気機種のデータを分析した結果、維新宇航は垂直離着陸機の売れ筋が6〜8人乗りの2.6〜3.3トン級に集中していることが判明した。このサイズの機種は、緊急対応や医療救助、石油の海上輸送、ラグジュアリー旅行などの用途で市場シェアの70%を占めている。
Vector 5は、まずは緊急医療や捜索活動向けに提供される。100%国産の部品を採用し、価格を同等性能の海外製品の3分の1に抑えたという。機体後部の大型ドアから、長さ2.3mの航空用担架を15秒以内に出し入れできるほか、機内には115V/28Vの電源端子6組と酸素供給装置が備えられており、除細動器や人工呼吸器、心電図モニターなど8種類の医療機器に同時給電できる。
世界には現在、8〜12乗りの固定翼機が1万5000〜2万台あるとされる。何威氏によると、Vector 11は電動化によって運営コストを60%低減できるため、従来型固定翼機からの買い換え需要を取り込めるという。
維新宇航は海外市場の開拓も進めており、すでにインドネシアに拠点を設け、離島間の輸送やラグジュアリー旅行などを展開している。2026年には中東市場を対象に、海上石油プラットフォームへの通勤や富裕層向け移動手段にフォーカスする計画だ。また、米国、カナダ、メキシコが共催するサッカーの2026ワールドカップでeVTOLイベントが開かれるのをきっかけに、欧米市場への進出も目指すという。
*1元=約22円で計算しています。
(作者:Jing Qiong、翻訳:田村広子)
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