「自由度より完成度」、中国ロボットハンド新興が量産急ぐ 主要部品の国産化を実現

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ロボットハンドおよびエンボディドAI(身体性AI)技術を開発する中国のスタートアップ「中科硅紀機器人(Casiahand Robotics)」がこのほど、戦略的資金調達を実施した。華控基金(TH Capital)が主導し、南京創投(Nanjing Venture Capital)や泰亜資本、北京未来科学城基金も加わった。資金は産業用ロボットハンドの量産やAIモデルの改良などに充てられる。

中科硅紀は2024年5月に江蘇省南京市で設立された。ロボットの「上肢」にあたるハードウエアから、意思決定を担う「大脳モデル」、運動制御をつかさどる「小脳モデル」までを一貫して手がけている。中国科学院自動化研究所をルーツとする開発チームは、2018年からワイヤ駆動型ロボットハンドやAI制御モデルの研究開発に取り組んでおり、この分野における中国国内の草分け的存在だとされる。

現在、中国の人型ロボット(ヒューマノイド)産業が急成長するなか、主要パーツであるロボットハンドへの需要も大きく高まっている。

創業者で最高経営責任者(CEO)の王鵬氏は、「これまでのロボットハンドは自由度の高さを競う『第1段階』だったが、現場で実際の作業をこなすためには、耐荷重や反応速度、耐久性、コストなどにおいてバランスのとれた完成度が求められる。それが実現して初めて産業活用の『第2段階』に入る」と指摘する。

同社が2025年に発表したロボットハンド「Casia Hand」シリーズは、主要部品の100%国産化を実現。産業用、サービス用、特殊用途、消費者向けという4つの分野をカバーする。

ロボットハンドのデモ動画

家庭およびサービスロボット向けは3本指タイプで、人の手の「つかむ、つまむ、持ち上げる、置く」といった日常的動作を再現する。産業現場向けの高速タイプは、関節角速度720度/秒、100万回以上の耐久性を誇り、電子機器の製造や物流などでの活用を想定している。特殊用途や展示用には、信頼性や形状を重視したタイプをそろえている。

自由度、耐荷重、柔軟性を同時に実現するため、Casia Handシリーズではワイヤ駆動方式を採用している。一部モデルでは、ワイヤ駆動と剛性機構を組み合わせたハイブリッド駆動方式も導入した。

ハードウエアだけでなく、データ収集基盤も独自に構築している。自社開発の光ファイバーセンサー搭載グローブは、人の手の複雑な動きを精密にとらえて記録し、ロボットの学習データとして活用できる。

中科硅紀の製品ラインアップ

中科硅紀では、運動制御を担う「小脳モデル」に加え、意思決定を担う「大脳モデル」も提供している。これにより、ロボットハンド自体がタスクを理解して推論する能力を備え、複雑な作業を自律的に遂行できるようになる。

こうした幅広い製品展開により、幅広い顧客層に対応している。例えば、システムインテグレーターや専用装置メーカーに対しては、既存のロボットアームや協働ロボットに高性能ロボットハンドを組み合わせる形で提供し、複雑な部品や工程への対応力を高める。この場合、ロボットハンドとともに大脳・小脳モデルをセットで供給する。

一方、エンボディドAIを手がけるメーカーや研究開発チーム向けには、大脳モデルは顧客側で開発できるケースが多いため、小脳モデルに関する動作ライブラリーの提供が中心となる。

王CEOは「ロボットハンドを導入しても、使いこなせないケースは少なくない。ソフトウエアまで含めて提供することで、データ収集やモデル学習といった事前準備を省き、仕分けや組み立てなどの作業にすぐ導入できる」と述べ、自社ソリューションの優位性を強調した。

(翻訳・畠中裕子)

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