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相変化冷却技術を手がける中国スタートアップ「中科千乗(Zhongke Qiancheng)」が2025年12月、エンジェルラウンドで中科創星(Casstar)から数千万元(数億円)を調達した。資金は製品開発や、市場投入の加速に充てられる。
中科千乗は2024年3月に設立された。中核を担うのは、中国科学院電工研究所の顧国彪博士率いる研究チームだ。同チームは、常温域で作動する相変化冷却技術を三峡ダムの発電設備に応用し、国家科学技術進歩賞の特等賞を受賞した実績を持つ。その後、同技術は配電用変圧器や高密度演算インフラなどへ応用範囲を広げてきた。
高い冷却効率、シンプルな構造
中科千乗の相変化冷却技術では、沸点の低いフッ素系液体を冷媒として使い、液体が気体になるときに周囲の熱を奪う「気化熱」を利用して機器を冷却する。冷媒は凝縮器を通過して再び液体になり、自然循環する仕組みになっている。ポンプを必要としないため、構造が非常にシンプルになり、信頼性も向上した。
冷却効率の面でも優位性は明確だ。300ワットの半導体チップを冷却する場合、相変化方式では1時間当たり7.2キログラムの冷媒を気化させれば十分だが、水冷方式では25.8リットルの水を約10度の温度差を保ちながら循環させる必要がある。さらに、使用する冷媒は高い絶縁性を備えており、万一の液漏れ時にも短絡(ショート)のリスクが低いため、AIサーバーや変圧器など高価な設備への適用に適している。
電力分野とAIデータセンターに照準
脱炭素政策の推進と生成AI向け演算力需要の急増により、効率的な放熱ソリューションが本格的な成長期を迎えている。こうしたなか、中科千乗は電力分野とAIデータセンターという二つの大型市場に照準を定める。
電力分野では、国家電網(State Grid)など電力大手と協業し、第三世代の蒸発冷却変圧器を提供している。中科千乗は技術をオープンソース化し、冷媒や熱交換器といったコア部品を提供することで、メーカーが変圧器の構造を最適化するのを支援しており、冷媒の使用量削減や製品のコストパフォーマンス向上につながっている。すでに国家電網の資材コードを取得しており、2026年から小規模導入が始まる見込みだ。
AIデータセンターの分野では、GPU単体の消費電力が1キロワットを突破し、これまでの冷却技術では限界が見え始めている。同社が開発したヒートシンク式ポンプレス循環冷却システムは、標高4410メートルにある宇宙観測所「LHAASO」のデータセンターで実運用されており、電力使用効率(PUE、1.0に近いほど効率が良い)は1.03を実現。発熱密度が高く、無人運用が前提となる過酷な環境に特に適した技術となっている。目下、業界のトップ企業と提携を結び、メガワット規模のAIデータセンター向け冷却ソリューションの実用化を進めている。
今後は、技術の活用範囲をエネルギー貯蔵や船舶分野などにも広げるとともに、AIデータセンター向けでは高密度サーバーラックに対応可能な冷却能力を確立し、3年以内に売上高10億元(約230億円)を目指す。
今回出資した中科創星は、演算力の需要が急増するなか、冷却技術やエネルギー効率がAI産業の発展を左右する重要な要素になっていると指摘。そのうえで、中科千乗の相変化冷却技術は冷却性能、コスト、信頼性のバランスに優れ、次世代AIインフラの中核技術になり得ると評価している。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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