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不規則な形の牛肉の塊や大小さまざまな丸鶏、硬さの異なる大量の野菜ーー食品工場の熟練スタッフであれば難なくこなすこれらの作業は、従来型の自動化設備にとっては極めて難易度が高い。形状や質感が一定でない食材に柔軟に対応することが難しいためだ。
中国の新興ロボットメーカー「上海希夕智能科技(SUNSEED)」(以下、希夕智能)は、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)技術でこの課題を乗り越えようとしている。
希夕智能は、同社は2022年、食品大手の新希望集団傘下でAI・ロボット投資を担う新希望智能設備と、汎用ロボットのユニコーン企業である非夕科技(Flexiv)が共同で設立した。AIとソフトロボティクスを高度に融合し、食材のカットや計量、パッキングなど、食品加工のなかでもとくに精密さが求められる工程向けのフルスタックソリューションを提供する。このほど、寧波市北侖区商貿物流投資集団が主導するエンジェルラウンドで数千万元(数億円)を調達した。
自動化率20~30%の「最後の難所」
中国の食品産業では、粗加工工程の自動化は進んでいるものの、精密な加工プロセスは依然として人手に大きく依存しており、自動化率はわずか20〜30%にとどまる。食材はサイズや形、硬さが一つひとつ異なり、既存のリジッド(剛性)ロボットアームでは臨機応変な対応ができないからだ。
希夕智能はこの課題を解決するため、「目・脳・手」が協調して働く汎用型食品加工ステーションを開発した。
まず「目」となるAIビジョンシステムが、リアルタイムで食材の特性を識別し、3Dモデルを構築。次に「脳」にあたる意思決定エンジンは、個別の加工戦略(それぞれの食材に適したカットの方法や可食部の判断など)を生成する。そして、高精度の力覚制御を搭載したフレキシブル(柔性)ロボットアームが、人の「手」のように抵抗力を感知し、力加減を調整して精密な作業を実行していく。
これにより、正確なカットや規格通りの加工が可能になるだけでなく、歩留まり向上や食品ロス削減にもつながるという。
食品加工向けのエンボディドAIは、単に産業用ロボットの経験を移植するだけでは実現しない。湿度が高く腐食性のある衛生環境への対応、食材の可食部の判断などは、業界のノウハウに大きく依存する。希夕智能の創業チームは、2021年から食品加工分野に注力し、数万時間に及ぶ実際の現場データを含む垂直モデルのライブラリを構築し、技術的な参入障壁を築いた。
汎用性と柔軟性で導入障壁を下げる
希夕智能はハードウエア、ソフトウエア、ソリューションを一括提供するビジネスモデルを採用している。顧客はハードウエアを購入し、必要な機能をサブスクリプション契約で導入することもできるため、初期投資を抑えられる。
最大の強みは汎用性と柔軟性にある。モジュール設計により、カメラやグリッパーを交換するだけで異なる食材に対応できる。ソフトウエアもワンボタンで加工モードを切り替えられ、顧客自身が新たなシナリオ向けモデルを訓練することも可能だという。
現在の顧客が抱えていた主な課題は、人材確保の難しさと食材ロスの負担だった。毛梁CEOによると、同社が商用化に着手したばかりの2024年には、多くの顧客が慎重な姿勢を示した。しかし、導入事例が増えるにつれ、自動化による効率向上と食材ロスの低減が目に見えて明らかになってきた。
目下、多くの食品大手が新規発注を計画しているため、2026年の受注は飛躍的に拡大する見込みだ。今後も引き続き製品のモジュール化と標準化を推し進め、より複雑なシナリオに対応するためAIモデルへの投資を強化していく方針。また、すでに海外工場との商談を開始しており、グローバル展開も視野に入れる。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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