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中国のスマートフォンやスマート家電、AIデバイス機、電気自動車(EV)など、ハードウエア製品の輸出が近年急速に拡大し、世界各地で中国ブランドの存在感が高まっている。本記事では、現在の中国企業の立ち位置を改めて紹介したい。
まず、世界展開に成功した代表例として挙げられるのがスマートフォンだ。特にインドやラテンアメリカ、アフリカ市場での成長が著しい。2025年の動向を見ると、シャオミはスマートフォンに加え、各国で「Xiaomi Store」を展開し、スマート家電も販売。ラテンアメリカやアフリカなどの新興市場でシェアを拡大し、ラテンアメリカではサムスンに次ぐ第2位、アフリカでは第3位となった。
また、ラテンアメリカとアフリカでは、Huaweiから分離したHonorも成長しており、ラテンアメリカでの出荷台数は2025年に1000万台を突破した。アフリカ市場では、TecnoやInfinixやItelといったブランドを傘下に持つ「伝音控股(Transsion)が強く、約51%の市場シェアを握る。中国企業にとっては鬼門のインド市場では、vivoやOPPOが高い成長率を記録している。
一方、欧米ではロボット芝刈り機の市場拡大が目立つ。ロボット掃除機と同様の自動化家電として注目されており、2025年上半期の世界出荷台数は234万3000台で、実に前年同期比327.2%増の急成長となった。この成長をけん引しているのも中国ブランドで、有望市場とみて、Narwalなど多数の中国企業が参入している。
ロボット掃除機に目を向けると、日本の家電量販店でも見かける、Ecovacs(エコバックス)やRoborock(ロボロック)が世界でもトップクラスの出荷台数を誇る。さらに、新興勢のDreame(ドリーミー)は、ロボット掃除機の形状でありながら階段を上り、本体のロボットアームで床の上のものを拾い上げる革新的な製品を開発し、技術力を武器に販売台数を伸ばしている。
日本メーカーの牙城を切り崩さないか危惧される世界の自動車市場も。中国汽車工業協会(CAAM)の統計によると、2025年の中国の自動車輸出台数は前年比21.1%増の709万8000台に達し、世界最大の輸出国として成長を続けている。
2025年の中国自動車輸出は、中国汽車工業協会(CAAM)の統計によると前年比21.1%増の709万8,000台に達し、世界最大の輸出国として成長を続けている。特に新エネルギー車(NEV)の輸出が前年比約2倍の261万5000台へと急拡大し、市場をけん引している。
メーカー別では、奇瑞汽車(Chery)は ガソリン車を含め前年比17.4%増の134万4000台を記録し、輸出首位の座を堅持した。EV最大手のBYD(比亜迪)は前年比約2.4倍の105万4000台に拡大し、爆発的な伸びを見せた。新興EV勢の小鵬汽車(Xpeng)は4万台を超え、零跑汽車(Leap Motor;リープモーター)も2026年には輸出台数10万〜15万台という野心的な目標を掲げている。
新しいジャンルの製品でも、中国企業の存在感が高まっている。DJIを代表としたドローンや、Insta 360が世界市場をリードする全天球VRカメラのほか、3Dプリンターや、ARスマートグラスやスマートリングなど、新たなハードウエアが相次いで登場している。
例えば、AIウェアラブルカメラ「Looki L1」や、カメラ内蔵ドローンの空飛ぶカメラ「Hafu X1 Smart」、ムスリム向けに設計されたスマートリング「iQibla」をはじめとして、これまでにない発想のデバイスが次々と生まれている。こうした製品は、クラウドファンディングで発売されると、短時間で多くの支持を集める例も少なくない。特定のニーズに応える「かゆいところに手が届く」ニッチなハードウエアを、スピード感を持って市場投入するーー。こうした動きも、中国企業の新たな強みとなりつつある。
振り返ると、以前にも増してこれまでの先進国発の製品と見劣りしない魅力的な製品をリリースするようになった。「中国のモノづくり力が向上した」と言ってしまえばそれまでだが、ではそれは何なのかを分解して考えてみる。
まず、生産現場でのデジタル化が進み、製造効率が大きく向上した点が挙げられる。生産ラインにカメラとAIを導入することで、問題ある部品を量産工程の中で人の目よりも細かく確実に発見できるようになった。これにより設計や試作から量産までのサイクルが短縮され、コスト削減と品質向上を同時に実現した。こうした変化の結果、中国製品は日本製など他国製品と同価格帯でも、より高機能なスペックを備えるケースが増え、競争力を高めている。確かに細かな仕上げや職人的な微調整では日本製に強みがあるが、現状、中国製でも品質は十分評価されている。
金型から各種パーツ、パッケージに至るまで、産業チェーンが出来上がっており、迅速に安くモノづくりができるのも強みだ。サプライチェーンが整った上で、AIが容易に導入できるようになり、AI TWSやARスマートグラスなどでも頭角を現し、AIカメラ「Looki L1」などの今までにない新しい製品を高すぎない価格でリリースできるようになった。
人型ロボット(ヒューマノイド)は、まだ一般消費者向けとはいい難いが、将来的に価格低下が進むと見られる。付加機能としてではなくメイン機能としてAIを活用する製品は、中国ブランドのグローバル展開を支える新たな原動力となる。
製品を作ったらそれで終わりではなく、地域ごとの消費者ニーズに合わせた製品開発が進んでいる点も近年の特徴だ。例えば、欧米向けのロボット芝刈り機や中東向けスマートリング「iQibla」などが挙げられる。日本市場でも、日本の生活環境や利用習慣に合わせた製品を開発し販売している。
つまり中国企業は「全世界に同じ製品を販売する」ことから「特定のユーザー層や利用シーンに合わせて製品やコンテンツを最適化する」ことにシフトし、より洗練された現地化運営を行う傾向にある。こうした中国のモノづくり力とニッチ市場への販売により、ドローンや3Dプリンターやロボット掃除機などで、中国ブランドが外国メーカーを押しのけ、業界の主導権を握るケースも増えている。
海外市場に製品を販売する環境が整ってきたことも、この数年の大きな進歩だ。TemuやAliExpressやTiktok Shopなどの中国発の越境ECプラットフォームの拡大に加え、中国企業の海外展開を支援するビジネスに携わる中国人企業かも増え、輸出販売の体制は大きく改善した。
また、現地のインフルエンサーを活用し、中国式のショート動画配信やライブコマースを行うようになり、全ての人の目に届く訳では無いが、マニアだけでなく新しいプラットフォーム利用に積極的な若者層に訴求できるようになった。
中国製品の強みを整理すると、価格競争力に加え、品質や消費者認知の面でも競争力を高めていることが分かる。成功したメーカーに「安かろう悪かろう」というイメージはない。今後は多くの製品分野で中国企業の存在感がさらに強まり、業界のルールメーカーとなっていきそうだ。
(文:山谷剛史)
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