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2018年のNVIDIA主催のAI開発者カンファレンス「GTC CHINA」において、同社は重要な新製品を発表せず、カンファレンス後のインタビューにも出席しなかったため、疑問の声が上がっていた。その1年後の2019年12月18日のGTC CHINAで、ようやく注目に値する新しいチップが発表された。
カンファレンスにおいて、NVIDIA社のCEOジェン・スン・ファン氏は自動運転チップORINを発表した。ORINには170億個のトランジスタが搭載され、処理性能は200TOPS(1秒あたり200兆回の計算が可能)に達し、先代製品のXavierの7倍となっている。これにより、L2からL5までの自動運転をサポートでき、Xavierとの互換性もある。生産開始は2年後の2022年であり、これは現在予想されている自動運転の進歩に見合ったスケジュールだ。
また、NVIDIAは7代目の推論ソフトウェアTensorRT 7を発表。これを使えば、あらゆる地域の開発者が対話型AIアプリケーションを実現でき、推論の遅延を大幅に減らすことが可能だ。対話型AIは短時間で大量の計算処理をしなければならず、TensorRT 7なら300ミリ秒で計算を完成でき、速度はCPUの10倍だ。この速度を実現できたことで、対話型AIはより実用的になった。
NVIDIAは今回も、いつものようにパートナーとの提携を発表した。これまですでに「バイドゥ(百度)」、「騰訊(テンセント)」、「京東(JD.com)」、「美団(Meituan)」、ファーウェイ、「浪潮(Inspur)」、Lenovo、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」、「奇点汽車(Singulato)」との提携を発表していたが、今回はDiDi(滴滴出行)が新たなパートナーとなった。DiDiはデータセンターでNVIDIAのGPUを使いAIをトレーニングしており、自社のL4自動運転車の推論ソフトウェアにはNVIDIA DRIVEを採用するという。
NVIDIAはまた、長年提携してきたBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)との新規プロジェクトをも発表した。バイドゥとアリババのリコメンド機能はNVIDIA AIプラットフォームを使用することになり、テンセントはNVIDIAとともにクラウドゲームプラットフォームを運営することになった。
また、NVIDIAのレイトレーシングRTX GPUの応用範囲が更に広がった。同社によると、RTX技術をサポートするゲームは6タイトル増えただけでなく、アジア最大のクラウドレンダリングプラットフォームの「瑞雲(RAYVISION)」もRTX GPUを搭載することが決まったという。最初の5000本のRTX GPUは2020年に運用が開始される。
NVIDIAはAEC(建築、建設、施工業界)向けのOmniverseオープン3Dデザインプラットフォームも発表した。ここでもRTX GPUを使用しており、発表会ではOmniverseで処理し、8基のRTX 8000を搭載したサーバーでリアルタイム・レンダリングされたたオフィスビルのデモ画像が流された。
さらに、NVIDIAはCUDAプラットフォームに5G vRANとゲノム解析の2つのアプリケーションを追加した。すでに通信機器大手のエリクソン社とゲノム解析を行う「華大基因(BGI)」が使用している。
今回のNVIDIAの発表は雑多な内容になったが、それは同社製品が中国でより広く使われていることの表れだ。GTC CHINAの注目度も上がっており、ジェン・スン・ファン氏によると、今回の出席者は6100人以上に上り、3年前の2.5倍となった。
最も注目されたのは自動運転チップORINだが、実現までにはまだ時間がかかる。4四半期連続で売上高が落ちているNVIDIAにとって、DiDi、BATとの提携や、パートナーが増えたことのほうが、よりダイレクトに業績を刺激するだろう。
画像はNVIDIAによる。
(翻訳:小六)
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