2019年の資金調達は1回のみ ブーム去った中国の生花ECビジネス

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中国のECフラワーショップは一時期多くの投資家を引き寄せたが、2019年においては、同業界の100社以上あるスタートアップ企業の中で、資金調達に成功したのはたったの1社で、回数は1回のみだった。

2019年の唯一の資金調達

2019年5月、格安で生花を販売することで高い人気を呼んだECプラットフォーム「門客生活(Menker Flowers)」に、契約違反、生花配達の中断、損害補償の拒否など一連の問題が発覚した。その後、同社では給料支払いの遅滞が発生し、WeChatアカウントと公式ウェブサイトが運営中止、オンライン配達システムも利用できなくなった。同社法定代表者の余傑氏によると、資金調達の問題で窮地に陥ったという。

実は、門客生活の事例は、中国におけるオンラインフラワーショップ事業挫折の一例にすぎない。

ECビジネス情報サイト「網経社(100ec.com)」の統計データによると、2013年から2017年までの間に、生花のEC事業分野では47回の資金調達が行われたが、2019年には、「Flowerplus花加」が3500万元(約5.6億円)の資金調達を行ったのみだった。

(テクノロジーフィナンシャルメディア「鋅刻度(ZAKER)」より)

門客生活が直面している危機は、低価格でユーザーを集める企業が持続的な利益を確保できず、かつ資金調達もできなければ、必ず破綻に繋がるということを裏付けている。

業界全体が直面している存亡の危機

門客生活に続き、Flowerplus花加もユーザーとの違約トラブルによる悪評が急激に広まっている。また、同様のトラブルが起きたECフラワーショップも多々ある。

生花の品質と配達状況を最も直接的に体験しているのは消費者である。同業界では、コストコントロールのために、開花期間が長く、手入れも簡単な品種しか扱わない傾向にある。よって、生花の種類が少なく、アレンジメントのバリエーションも少ない。ユーザーが入会し、月次会費を支払えば、定期的に生花が配達されるシステムの場合、長期間同じような花束が配達される可能性が高い。この点についての苦情は多いという。

このような中、地元の花屋と大手ECサイトが生花配達ビジネスに参入し、ECフラワーショップの将来はより不透明になった。生花の品質は配達スピードに大きく左右されるため、多くのECフラワーショップがコールドチェーン輸送を標榜しているが、地元の花屋と大手ECサイトのほうが有利である。前者は地元向けのため、容易に当日配達ができる。一方、後者は完備されたコールドチェーンを持ち、品質をより保証できる。

門客生活は経営が窮地に

エコシステムの欠陥

競争がより一層激しくなるため、2019年には資金調達で延命したECフラワーショップでも、2020年の状況はより危機的になるだろう。

同業界はここ数年、ユーザーに提供するサービスに大きな進化がなく、ユーザーのニーズのフォローアップにも適切な行動が見られない。

2019年に唯一資金調達ができたFlowerplus花加は、産地からの直接仕入れと、大手物流会社とのコールドチェーン輸送の連携により、生花の品質保証に努めている。

自社サプライチェーンの構築について、Flowerplus花加のパートーナー兼サプライチェーン総裁の張宇氏は、従来の生花のサプライチェーンモデルと異なり、同社はなるべく産地から仕入れようとしていると話した。

同社のこうした積極的な試みが、同業界で唯一資金調達ができた要因だったのかもしれない。しかし、それでも現時点で同社は大量なクレームを処理している最中で、ビジネスモデルの転換は容易ではない。今後の課題もまだ山積みとなっている。

ECフラワーショップにとって、価格競争による悪影響の排除以外に、収益モデルを確立するとともに、完全なビジネスエコシステムの構築も重要ポイントだと思われる。

作者:鋅刻度(Wechat ID:znkedu)、許偉

(翻訳:小六)

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