KDDI出資の中国系越境EC「ワンドウ」、SBIホールディングスなどから新たに50億円を調達

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日本商品に特化した越境ECアプリ「豌豆公主(ワンドウ)」を運営するインアゴーラは今月、53億円を新たに調達した。出資者はSBIホールディングス、大手薬局チェーンなどを手がけるスギホールディングス、中信集団(CITIC)傘下の越境投資プラットフォーム「信金投資控股(XJ Holding)」。調達資金は運営、市場拡大、人材強化などに充てられる。

2015年創業のインアゴーラは、過去にも伊藤忠商事、KDDIおよび正大集団(CP Group)など大企業の出資をたびたび受けてきた。創業者の翁永飆氏によれば、現在の同社の事業は二つに大別される。一つ目はB2B2Cの越境ECプラットフォーム運営で、主に豌豆公主を通じ、中国の消費者に優れた日本商品を提供している。二つ目は日本企業が中国市場に進出し、ブランド認知を高めるためのマーケティング支援だ。

同社の情報によれば、2015年9月のアプリリリースから現在までの累計登録ユーザー数は2000万人に達した。ユーザーの平均年齢層は20~30歳に集中しており、「90後」と呼ばれる1990年以降生まれの若者が6割を占める。昨年は全ユーザーに占める男性の割合が前年比で22%増となったほか、2000年以降生まれの若者ユーザーについても100%増を実現した。

「豌豆公主」のアプリ画面

豌豆公主に出店済みの日本ブランドはすでに3300種類を超え、商品ジャンルはコスメ・基礎化粧品、サプリメント、生活用品、マタニティ・ベビー用品、健康食品、アルコール・ドリンク、中古ブランド商品などをカバーし、SKUは4万を超える。

特筆すべきは、豌豆公主がメーカーやブランドと直接提携する数少ない中国越境ECプラットフォームの一つである点だ。インアゴーラが日本で蓄積してきた長年の経験による成果だが、このほか日本の大手企業が同社の株主となっている点も関係している。

今回の出資者スギホールディングスは、子会社に大型ドラッグストアチェーンのスギ薬局を抱えている。インアゴーラは資金調達と同時にスギ薬局および信金投資控股との間で複数の業務提携契約を締結した。信金投資控股の母体であるCITICグループの顧客に対しては最新の優待情報や優れた海外商品を広く提供し、グループ傘下の小売業態とオンライン・オフライン両面で提携を実施することで、豌豆公主はより質の高い集客チャネルを獲得できる。さらにスギ薬局の商品調達チャネルという支援を得ることでサプライチェーン関連コストのさらなる引き下げにつながるほか、スギ薬局の中国市場における影響力の拡大もサポートしていく。

翁氏によると、日本企業のIT化は中国企業と比べやや遅れており、システム開発もアウトソーシングが一般的なため、展開もやや緩慢だと述べる。インアゴーラは2年の歳月をかけ、提携先の全卸売業者との間でシステムと物流に関する連携の仕組みを構築し、サプライチェーンの効率を大幅に高めることに成功した。同社は千葉県松戸市に1万6000平方メートルのロジスティクスセンターを構え、そこから直送することで最短で翌々日には商品が中国の消費者に届くシステムを確立している。また河南省鄭州市には売れ筋商品をメインに保管する保税倉庫を設置しており、これらの商品は通常、翌日の受け取りが可能だ。

インアゴーラは昨年下半期から、中国で新たなジャパンブランドを仕掛ける事業を本格化させている。調べによると、同社はまず日本酒やお香など中国市場でヒットを狙えそうな商品ジャンルを選んだ上で、日本ですでにある程度の業界基盤を築いているトップブランドを探し提携するのだという。昨年は70ブランドの中国進出を支援し、専売ブランドも十数件に達した。

翁氏によれば、ここ数年で日本の著名ブランドは中国の消費者の間で広く知られるようになり、複数の上場企業の財務報告書には、中国市場での販売比率が高まり続けているとの記載もみられる。さらに中国の若いEC利用客や訪日旅行客の増加は、高品質な商品に基づくロングテール戦略を掲げる日本ブランドに格好の成長チャンスをもたらしている。

現在、中国越境ECは急成長の段階にあり、そのうち日本は消費者に最も喜ばれる市場の一つとなっている。今後は巨大な成長ポテンシャルをもとに日本市場を強化した上で、東南アジアなどにおける市場参入を考慮に入れたいと翁氏は述べる。

インアゴーラは現在、日本人100人、中国人約200人を含む計300人あまりの社員を抱え、東京、北京、杭州にオフィスを構える。創業者の翁氏は18歳で日本に留学したシリアルアントレプレナー(連続起業家)であり、2000年に検索エンジンサービスのJWord、2005年にセキュリティソフトなどを手がけるキングソフトジャパンを創業している。その他の中心メンバーもアマゾンジャパン、楽天および日本の投資銀行などの出身者だ。
(翻訳・神部明果)

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