ドローンより静かで安全――中国の羽ばたき飛行ロボット新興、流体を乗りこなす
生物模倣(バイオミメティクス)技術を応用した羽ばたき飛行ロボットを開発する「鷹瞰智翼(ESD)」はこのほど、エンジェルラウンドで約1000万元(約2億3000万円)を調達した。啓高資本(Inspiration Capital)が出資を主導し、奇績創壇(MiraclePlus)と上海交通大学のファンド・オブ・ファンズ(FOF)が参加した。資金は主に、製品の量産、次世代型AI搭載飛行ロボットの開発、世界初となるロボット向け流体シミュレーションエンジンの構築に充てられる。
鷹瞰智翼は2025年3月に深圳市で設立され、創業メンバーらが上海交通大学出身だ。先進的な流体力学設計に基づいて、長航続・大積載でエコロジカルかつ高い柔軟性を備えたAI搭載羽ばたき飛行ロボットの開発に取り組んでいる。
創業者の陳昊氏は、ドローンなどの無人回転翼(ローター)機が本質的に「流体に対抗」するのに対し、羽ばたき飛行ロボットは「流体を乗りこなす」ものだと説明する。騒音が極めて小さく安全性も高いため、実際のテストでは鳥が周囲に集まって一緒に飛ぶほどの生物親和性を示したという。将来的には人のすぐそばで使える飛行デバイスになり得ると陳氏はみる。
製品は消費者向けと産業向けの2ラインで展開する。消費者向けの「丹丹(Dante)」は、世界中のテクノロジー愛好家をターゲットとしており、アクロバット飛行や二次開発にも対応し、既存の羽ばたき飛行ロボットの中でも高い操作性と柔軟性を持つ。すでにプロトタイプの開発が完了し、飛行時間は累計3000時間に達した。
22026年4〜6月期にはクラウドファンディングサイトのKickstarterで資金調達を開始する予定だ。テクノロジー愛好家市場はフィードバックが速く拡散力も高いため、ユーザーデータの収集と開発者エコシステムの構築を迅速に進められると同社は期待する。
「丹丹(Dante)」
産業向け製品は、専門的な科学研究や産業の現場をターゲットとしており、全プロセス自動の飛行能力を備えている。騒音が小さくステルス性が高いため、複雑な環境への適応能力が従来のドローンを大きく上回るという。現在開発中のAI搭載モデルはより自由度の高いバイオミメティクス構造を採用し、2026年6月に世界初飛行を予定。2027年1〜3月期の製品化を経て、都市パトロールや生態モニタリング、大学での科学研究などへの導入を段階的に進める計画だ。
「AI搭載羽ばたき飛行ロボット」
技術面の核心となるのが、独自開発した世界初のロボット向け流体シミュレーションエンジンだ。強化学習ネットワークと組み合わせることで、ロボットが仮想空間で数百万回のシミュレーションを重ね、最適な飛行姿勢と動作ロジックを自律的に導き出せるようになる。2026年末までにシミュレーションエンジンのクローズドループ化と強化学習ネットワークの実装を完了させる予定で、長期的には同エンジンを業界共通の基盤プラットフォームとして公開し、飛行ロボット分野のインフラとして広く普及させたい考えだ。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・田村広子)