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カジュアルゲームの快進撃につれ、バイトダンス(字節跳動)のゲームへの野心が徐々に明らかになっている。
先月下旬、バイトダンスは既に1000人超のゲーム事業部門を立ち上げており、中国国内外のユーザーをターゲットにした2タイトルを今春にもリリースする予定だと報じられた。36Krはこの報道についてバイトダンスに確認したが、回答は得られなかった。
2018年10月、バイトダンス傘下のニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」が無名のゲーム会社「朝夕光年(ZX LIGHT YEAR)」の運営を引き継いだ。これがバイトダンスによるゲーム事業参入の始まりだ。2019年2月、バイトダンスはモバイルゲームを手がける「藍飛互娯(Kunpo)」と共同で「ウイルスウォー(消滅病毒)」をリリース。同月、傘下の短編動画アプリ「抖音(Douyin、海外では「TikTok」)」からも音楽やリズムをベースにした「音躍球球」をリリース、10月末にはアクションゲーム「我功夫特牛(ヒーローズコンバット)」をリリースした。
ミニゲームやハイパーカジュアルゲームの人気を左右するのはアクセス数だが、それこそがバイトダンスの強みで、抖音や今日頭条などはアクセス数抜群のアプリだ。「ウイルスウォー」は96日間連続でiOS無料ゲームランキングのTOP10圏内に入り、うち半分以上は上位5位入りしていた。「音躍球球」はiOS中国版のダウンロード数ランキング(ゲーム部門)で最高2位につけ、「我功夫特牛」も同ランキングで4位まで上昇した。
カジュアルゲームよりさらに内容が重視される重量級ゲームでも、バイトダンスは2番手には甘んじない。2019年3月、バイトダンスはオンラインゲームの開発を手がける「墨鵾数碼科技(MOKUN TECHNOLOGY)」を買収し完全子会社化。6月には重量級ゲームを自主開発する「緑洲計劃(オアシスプロジェクト)」をスタートした。
これはプロトコル通りの手法だ。まずはミニゲーム、とりわけ増え続けるハイパーカジュアルゲームでユーザーを集め、アクティブユーザーのペルソナを収集し、これを土台にして重量級ゲームの開発と配信を強化するのだ。
米アプリ分析会社「App Annie」が昨年末にまとめた総括によると、2019年にヒットしたゲームでダウンロード数が最も多いジャンルはスーパーカジュアルゲームだが、最も人気があり、最も課金額が多いゲームはやはり重量級ゲームだった。重量級ゲームは収益化、コンテンツの競争力で際立っており、重量級ゲームならではの複雑さや競技性からして、ショートビデオやライブ配信の一カテゴリとして成り立ち、業務提携を可能にしやすい。
テンセントがゲーム著作権の統制と調達を強化している昨今、著作権問題をクリアするには、バイトダンスは独自で動くしかない。過去に今日頭条でテンセントが提供するゲームの動画が配信されたため、テンセントは今日頭条をはじめとするバイトダンス傘下アプリのを相手に8件の訴訟を起こし、テンセント関連のゲームコンテンツの配信差し止めを求めている。
1000人以上の事業部門立ち上げとなると、競合他社との間で人材の引き抜き合戦が必ず起こる。テンセントは優秀な人材へのインセンティブを強化するなどして自社の頭脳流出を防ぐ。一方、バイトダンスが経験不足を補い、競争力のあるゲームコンテンツを自社開発するには、成熟した才能の引き込みは必須だ。
テンセントの場合、自社開発を始めてから「王者栄耀」のヒットまで10年かかった。一方のバイトダンスはゲーム事業に乗り出して1年余り、カジュアルゲームではすでに頭角を現している。しかし、これはアクセスボリュームを抱えていれば効率良く事業をスケールできることを証明しているに過ぎない。
膨大なユーザーデータの蓄積、重量級ゲームの制作能力、ユーザーへの認知拡大、バイトダンスがゲーム事業で立ち位置を確立するにはまだ時間が必要だが、ライバルの警戒感を引き起こすには既に十分だ。
(翻訳・永野倫子)
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