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感染拡大が続く新型肺炎だが、その影響はスマートフォンの新機種発表にまで及んでいる。
日本経済新聞の報道によると、アップルのiPhoneを製造するEMS企業「フォックスコン(富士康)」は今月10日から計画していた工場の再開を延期したという。現地で検査した衛生担当者が、食堂や寮の通気性の悪さや全館空調のため深圳工場は「コロナウイルス感染のリスクが高い」と判断したためだ。
河南省鄭州市にあるフォックスコン最大のiPhone工場も、10日の予定だった生産再開を延期。さらに春節休暇で台湾に帰省している従業員にはそのまま台湾にとどまるよう要請し、帰路のフライトをキャンセルした。同グループの液晶パネル製造会社「群創光電(イノラックス)」も一時操業を停止している。
報道に対してフォックスコン側は、「グループの方針として、特定の工場や取引先、製品発表についてのコメントは行わない」と述べるにとどまった。
フォックスコンの鄭州工場はiPhone製造の重要拠点だ。今年上半期に発表されると見られる新機種「iPhone9(SE 2)」の組み立てを始めたことがすでに報じられており、受注量は数千万台に上るとも予測されている。リーク情報で有名なエヴァン・ブラス氏(@evleaks)によれば、iPhone9の発表は3月中旬だという。
iPhone向け部品を供給している上場企業の社員によれば、この新機種は4Gモデルの在庫を一掃するためだという。部品メーカーは新型iPhoneに期待を寄せているが、生産やサプライチェーンの問題にぶつかれば新機種発表はさらに遅れる可能性がある。
またアップルは中国本土にある全店舗を9日まで一時閉鎖すると発表していたが、閉鎖期間をさらに延長することを決定。再開時期については未定だ。中国本土のストア閉鎖および時短営業により、iPhone100万台の販売が先送りになるとの試算もある。
アップル製品に詳しい「天風証券(Tianfeng Securities)」のアナリスト、ミンチー・クオ(郭明錤)氏はリポートの中で、新型コロナウイルス肺炎の影響により、2020年第1四半期のiPhone出荷台数は10%減少して3600万~4000万台になると予測している。
「中信建投証券(China Securities)」は、アップルの部品生産拠点の約50%が中国にあることから、2020年上半期の新機種量産には潜在的なリスクがあると予想。一方で、一時的に落ち込んだ消費は下半期で挽回できるとし、消費への影響は小さいとの考えを示している。
※アイキャッチ画像:CNBeta
(翻訳・畠中裕子)
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