【分析】2019年生鮮EC各社の運営データ、アプリ起動数1人あたり1日4回 新型肺炎で皮肉な特需も

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中国のモバイルインターネット業界における五大企業として新たに「AT BMB」が定義されつつある。アリババ、テンセントの二大巨頭に加え、バイトダンス(字節跳動)、美団点評(Meituan Dianping)、バイドゥ(百度)の頭文字をとったものだ。

モバイルインターネット専門のデータ調査企業「Trustdata」が発表した「2019年中国モバイルインターネット産業発展分析報告」は、同業界を取り巻く現況を統括するとともに、カテゴリ別の現状についても統計・分析を行った。

中でもこのところトレンドとなっているのが生鮮食品のECだが、同分野ではテンセント系の「毎日優鮮(Miss Fresh)」やアリババ系の「盒馬鮮生(HemaFresh)」に加え、上海を拠点とする「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」の3ブランドが先発者として安定した成長を見せている。

毎日優鮮の月間アクティブユーザー(MAU)は昨年12月時点で1152万人で、前年同期比43.9%の伸びを示した。アプリの平均起動回数は1人当たり1日4.4回で業界トップだ。しかし、生鮮ECに参入したすべてのプレイヤーがこのような好成績を叩き出しているわけではない。現状は前出の3ブランドがシェアを独占している状況だ。

ネット通販の利用習慣が十分に根付いたユーザーには「どんなものでもECで買える」という概念が染みついている。当初は服飾品やデジタル製品、その後は家電や日用品、さらにはフードデリバリーまでがオンラインでまかなえるようになり、現在トレンドの生鮮ECはまさにネット通販と即時配送が結びついた産物だ。毎日優鮮や叮咚買菜は各地に小型倉庫を設け、3キロ以内なら30分で配送できる体制を敷いている。盒馬は反対に、店舗と倉庫の一体型で運営する。

主要生鮮ECアプリの平均起動回数は昨年12月時点で1人当たり1日3.6回だ。生鮮食品はそもそもリピート率の高いカテゴリであるうえ、毎日優鮮の徐正CEOによれば、2015年から2025年にかけての時期はちょうど1980~1990年代生まれの世代が結婚して家庭を持ち始める時期に合致し、彼らによる生鮮食品への需要が高まるタイミングだ。店へ出向いて買い物をするより宅配を利用する習慣が彼らの間で浸透しつつある。前もって買い物リストを作ってお店へ買いに行くよりも、「思いついたときに思いついたものを買う」スタイルができあがってきているのだ。

中国市場に特化したVC「今日資本(Capital Today)」の創業者である徐新氏はかつて、「生鮮を制する者が天下を制する。生鮮はEC最後の砦だ」と述べている。

昨年の生鮮EC市場は競争が激しかった。大規模に資金を投入して割引キャンペーンを続けた結果、倒産した企業も続出し、勝ち組と負け組が二分された。しかし今年に入ってからは新型肺炎の影響もあり、一時停戦といった様相だ。店舗に出向かず生活必需品が手に入るとあって、皮肉にも特需に沸いているからだ。需要に供給が追い付かず、多くの消費者が複数の生鮮ECアプリを駆使して必需品の調達に奔走している。

新型肺炎が収束した後もユーザーをつなぎとめることができるか、リピート率を維持できるか、あるいはどのように収益化モデルを探り当てるかが、各社の今後の課題となってくるだろう。
(翻訳・愛玉)

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