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3月3日、アジア最大級の家電見本市の「中国家電博覧会(以下「AWE」)」が来年に延期されることが発表された。家電やスマホなどを含むコンシューマーエレクトロニクスの世界3大展示会の一つである同イベントは、昨年は35万人を動員し、900社以上が出展した。
家電メーカーはAWEの場で実力と最新の動向を全世界に披露しようとしていたが、新型コロナの蔓延で計算が狂ったことになる。
中国における、家電の売上高の増加は製品機能の向上とオフラインの販売チャネルの拡大によるものだ。しかし、展示会が中止されたため、新製品の機能を体験してもらうチャンスが失われた。販売チャネルの方も家電販売店の営業が停止となったため、店舗従業員を減らしオンラインのみの販売に切り替えた企業もある。
こうした状況のなかで、小売大手の「蘇寧(SUNING)」、ECの「天猫(Tmall)」、「京東(JD.com)」がオンラインの強みを生かし、ライブ配信による販売を強化した。たとえば蘇寧が12時間休まずに配信を続けたイベントには3280店が参加し、3万4000回以上の配信が行われ、瞬間最多視聴者数は3000万に達した。
家電はライブ配信で売れるのか
ある世界的な家電メーカーの関係者によると、ライブ配信の効果は思ったほど出ていないという。実際に商品を確かめることができないため、ライブ配信だけで高価な商品を購入する人はほんの僅かしかいない。ライブ配信ではカスタマー・エクスペリエンスが実物を見て買うより劣るので、高級志向を持つ消費者への訴求力が弱いということだ。
『2019年中国家電市場報告』によると、2019年の家電のオンライン小売の市場浸透率は41.7%に達したにもかかわらず、売上高は前年比で1.6%しか成長しなかった。家電オンライン販売の成長の頭打ちは顕著である。そのため、今後の売上増のためには地方都市や農村部の実店舗での販売が重要となるが、その計画も新型肺炎によって頓挫した格好だ。
家電の低価格化も影響している。テレビを例にとると、市場調査会社の「中怡康(China Market Monitor)」の統計によれば、2019年に中国で販売されたテレビの平均価格は2817元(約4万2000円)と低い。この状況で高級家電を宣伝しても効果は薄く、ライブ配信による売上増が少ないのも当然だといえる。
AWEでは多くの注目すべきイベントが予定されていた。例えば今年初めて設置された「魅力館」エリアでは、女性向けの美容家電、ドライヤー、電動歯ブラシの新商品を集中的に打ち出す予定だった。スマート家電にはハイアール、「美的(Midea)」、シーメンス、ワールプール、「雲米(Viomi)」、「海信(Hisense)」、「TCL」など多数の大手家電メーカーが出展し、スマート家電をめぐる争いが一層激化するはずだった。
感染症により、空気清浄機、血糖測定器、フィットネス関連の家電とスマートテレビの売り上げが一時伸びたが、業界関係者によるとこれらはあくまで一時的な現象で、長続きはできないだろうという。
(翻訳:小六)
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