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中国スマホメーカー「OPPO」がIoT分野を強化するために動き出した。昨年末、それまで表舞台に出ることがほとんどなかった創始者の陳明永氏が自らIoT戦略を発表し、新製品である完全ワイヤレスイヤホンとルーターもリリースした。そして今年3月には、OPPOブランドのスマートウオッチ「OPPO Watch」をリリースした。
IT専門調査会社IDCのリポートによれば、2019年のスマートウオッチの出荷台数は全世界で9240万台だった。前年に比べ22.7%増加しており、四半期ベースでは2桁成長を続けている。スマートフォンの出荷台数が落ち込む中、スマートウオッチの成長ぶりには目を見張るものがある。市場調査会社ストラテジー・アナリティクスによれば、アップルの「Apple Watch」だけでも2019年に3000万台以上が販売されており、売上高はスイスの時計業界を上回る規模だ。
洗練されたデザイン、充実した機能
36Kr編集部では実際にOPPOのスマートウオッチを1日使用してみたが、確かに機能性に優れ、デザイン性も洗練されていると感じた。
まず驚くのはApple Watchに酷似したデザインだ。しかし1999元(約3万円)で高価なApple Watchの使用感を得られるなら、非常にお得だろう。
全体の作りとしては細部にまでこだわりが感じられる。柔らかなカーブを描くフェイスは高解像度で画像もくっきり鮮明だ。46mmモデルはゴールドとブラックの2色展開。
OPPOは女性ユーザーの心をくすぐるポイントも忘れていない。特にオリジナリティーあふれるのが文字盤のAIコーディネート機能だ。これはその日の服装の写真から色を抽出し、服装にマッチした文字盤のデザインを自動で生成するもので、身支度をして家を出る直前のシーンに特化した機能だ。このほかに表示する文字盤の表示をランダムに生成するモードとスマホの写真を文字盤に表示するモードがある。これは他社製品にはないOPPO Watchならではの特徴だ。
ヘルスケア機能も充実しており、心拍数計測や睡眠トラッキング、ランニングやウオーキングなどのフィットネストラッキングに対応している。しかも防水機能を備えており水泳時にも使用可能だ。
OPPOはこのヘルスケア機能に特に力を入れている。中国企業が開発した睡眠トラッキングアプリ「蝸牛睡眠(Snail Sleep)」とリンクして、眠りの質を改善するためのアドバイスを受けることもできる。また座った状態が一定時間を超えると通知が届く機能や、ストレスを減らす呼吸法などオフィスワーカー向けの機能もそろっている。ただ、筆者はこれらオフィス向けの機能はほとんど使わなかった。
フィットネスに関しては、気軽に使用できるよう5分間エクササイズのアプリが組み込まれている。例えば気持ちの良い目覚め、リフレッシュ、脂肪燃焼、安眠のためのリラックスなどがあり、どれも活用シーンを明確にしてユーザーのきめ細かいニーズに合わせようとするOPPOの努力が見てとれる。
参入が遅くともチャンスはある
IoT事業の拡大を狙うOPPOにとって、スマートウオッチは始まりにすぎない。
IoTへの参入で後れを取ったOPPOだが、チャンスがないわけではない。すでに定着しているスマートウオッチと、ここ2年大ヒットしている完全ワイヤレスイヤホンを足がかりに市場へ切り込む手法は、保守的とはいえ効果的なものだ。今後、店頭に十分な種類の製品が並び、OPPOのオフラインでの販売手腕を発揮すれば、後発ながらIoT業界で上位に食い込むことができるかもしれない。
ただOPPOにとって最大の難関は製品開発ではなく、エコシステム全体の構築だ。ライバル企業であるファーウェイもシャオミも独自のエコシステムを作り上げているのに対して、OPPOのエコシステムは昨年ようやく始動したばかりだ。あらゆるものが互いに融合する「万物互融」というエコシステムのコンセプトを打ち出してはいるが、今のところ一つ一つが独立した状態にすぎず、相互に連携するまでには至っていない。この状態ではOPPOのスマートウオッチは、スムーズなサービス連携を実現しているファーウェイ、シャオミ、アップルに勝つことはできないだろう。
しかも、ブランド認知度を向上させるには時間がかかる。OPPOのスマホになじみがあるユーザーでも、OPPOのスマートウオッチと聞くとピンとこないかもしれない。IoT分野におけるブランド力を高めていくには、かなりの時間を費やす必要があるだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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