インテル・キャピタル、中国テック分野への投資で成果挙げる秘密 「短期的なリターンを求めない」

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中国進出からすでに30年が経過したインテルの投資部門「インテル・キャピタル(Intel Capital)」は、「硬科技」と呼ばれるハードウェア&コアテクノロジー領域での成果を収めつつある。

インテル・キャピタルの董事総経理で中国エリアの総経理を務める王天琳氏は、4月初旬の取材で同社の業績について明らかにした。インテル・キャピタルはこれまで1500社を超える企業に投資し、そのうち200社以上が上場、400社以上が合併買収でバイアウトされており、イグジットの割合は40%を超えるという。

同社はこのほど、中国のハードウェア&コアテクノロジー企業二社への出資を再宣言した。半導体の電子設計自動化ツールEDAを手掛ける「概倫電子(ProPlus Design Solutions)」にシリーズAで、またAI医療分野の「江豊生物(KFBIO)」にはシリーズBで出資を行った。

参入障壁の高さと成長の緩慢さから、半導体、to Bビジネス、ビッグデータといった事業は一貫して投資分野における鬼門とされており、ユーザー数がともすれば数カ月で倍増するto C事業と比べ、投資のリターンには不確実性が伴う。とはいえ、中国版ナスダックといわれる「科創板(スター・マーケット)」の開設に伴い、インテル・キャピタルが注目する同分野にも新たなイグジットの道が開かれた。

同社が出資に加わった「瀾起科技(Montage Technology)」「楽鑫科技(ESPRESSIF SYSTEMS)」「卓易信息(eazytec)」は昨年、科創板への上場を果たした。王氏は「現在、中国企業に最大のメリットをもたらすのが科創板。特に我々が投資するハード&コアテクノロジー関連企業にとってはここ数年、非常に有効なイグジット手段になっている」と率直に述べた。

毎年数十件の案件に投資を行う第一線のベンチャーキャピタルファンドとは異なり、インテル・キャピタルの出資頻度は高いとはいえない。これは同社のポジショニングと関係している。セコイア・キャピタル・チャイナや「ヒルハウス・キャピタル(高瓴資本、Hillhouse Capital Group)」のようなLPを通じて出資を募るファンドとは違い、インテル・キャピタルは1つの企業グループに所属する直接投資部門(CVC)であり、親会社であるインテルの営業利益を資金源としている。このため、投資スタイルにおいては、多方面に配慮した戦略および財務面での二重のリターンが求められているのだ。

「我々と短期的なリターンを求める投資家との最大の違いは、戦略的関連性のある企業を投資対象に選択している点、そして、投資後もその企業へのさらなる支援やリソースを提供していく点だ」と王氏は語る。インテルの投資先はチップやプロセッサという同社の主業務を中心としている。例えば瀾起科技はチップサプライヤーであり、概倫電子はチップ設計企業、また楽鑫科技はファブレス(工場を保有しない)半導体企業だ。これらに加え、AI、クラウドコンピューティング、5Gといった新たな技術の台頭に伴い、インテル・キャピタルはスマートリテール企業「雲拿科技(Yunna Technology)」やVR関連メーカー「当紅斉天(Danghongqitian)」などの企業へも徐々に影響力を増していった。

画像提供:インテル・キャピタル

1998年の中国での投資開始から起算して、インテル・キャピタルは中国で計140社あまりの企業に対し総額20億ドル(約2200億円)を超える投資を実施してきた。年間平均にすると約6社だ。上場企業であるインテルの性質上、財務監査は厳格に行われるものの、対外投資にかかわる社内の意思決定は高いレベルでフロー化されている。王氏は、昨年に科創板に上場した卓易科技を例に挙げると、同社によるデューデリジェンスは2週間、出資交渉はわずか10分で完了したという。

「インテル・キャピタルの投資に関する意思決定は、国内の投資機関より遅いとは考えていない」と王氏は語った。

こうした効率の良さはインテル・キャピタルのオフィスが北京にもあること、および投資する業界に対する理解に由来する。例えばリードインベスターとして楽鑫科技に出資した際は、王氏自身が以前インテルでWi-Fi用チップの関連業務に10年間携わっていたこともあり、同分野に比較的精通していた。実のところ、インテル社内には関連する各種領域の専門家がいるため、技術に対する判断を素早く、的確にできるのだ。

チップという注目の話題に触れた際、王氏はこう語った。「高い企業価値ばかりをむやみに求めないこと。半導体に関連した起業はマラソンのようなもので、企業価値評価のたびに合理的な成長を遂げているのがベスト。そうしてこそ最も戦略的価値のある投資家を呼び込める」

半導体業界の川上である材料生産や設備、さらにはチップ設計、ソフトウエアから川下の活用シーンに至るまで、インテル・キャピタルおよび世界中にあまねく存在するインテルの社内専門家および外部のエコシステムが一体となり、企業評価や連携を行っている。「我々は安易には手を出さない。ひとたび手を出したならば、出資先企業と一緒になって持久戦に挑む準備を整える。半導体関連の創業はマラソンのようなものであり、速やかな商品化や経済効果は見込めないのだから」
(翻訳・神部明果)

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