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中国EC大手の「京東(JD.com)」が2016年にインドネシア参入を宣言してから4年が経過した。
2億6000万人の人口を抱えるインドネシアは東南アジア最大の市場であり、インターネット経済の規模はここ数年、年平均成長率40%の速さで急成長を遂げてきた。中国のテックジャイアント各社がこのおいしいビジネスを見逃すはずはなく、EC分野においては、アリババが巨額を出資して東南アジア最大のECサイト「Lazada」の経営権を取得したほか、テンセントも大手EC「Shopee」を支援している。一方で京東はあくまでも自社の海外進出にこだわった。
インドネシアにおけるEC市場の競争は異常なほど過熱しているが、京東の実力を疑う余地はない。アジアのテック企業やスタートアップに関するシンガポールのメディア「Tech in Asia」の報道によれば、京東は今年3月、インドネシアの子会社「JD.id」の企業価値が10億ドル(約1100億円)に達し、現地のユニコーンの仲間入りを果たしたと発表した。
36Krはこのほど、新市場の開拓事業をめぐる理論や競争を通じて得られた戦略などについてJD.idの章力CEOに単独取材を行った。
――新しい市場を前に、事業展開についてどのような計画を立てましたか。
「我々はこの4年間、主にインドネシア市場における京東ブランドの認知確立、優秀な現地チームの結成、現地のサプライチェーンおよび倉庫・配送・物流ネットワークの構築、インドネシアにおける電子決済の導入に取り組んできた。現在も基礎固めの過程にあり、ブランドに対する信頼構築が非常に重要だ。今後はこのインフラをベースとして、医療コンサルティング、保険、金融など多くの事業を積み重ねていく」
――どの事業を現地化しましたか。
「我々は提携パートナーとの協業を重視しており、サプライチェーンに関わる全てを自社でまかなおうとはしていない。電子決済やクラウドソーシング物流に関しては『Go Jek』社と提携している。我々にとっては海外進出自体に各種の新しい課題や困難が伴ったため、こうした状況下では我々が不得意とする分野に手を出そうとは考えなかった。だが同時に他のチャンスを失うわけにはいかず、その最も適切な方法が提携だといえる」
――現地の出店者を開拓する際、どのような困難に直面しましたか。
「まず主として競争に由来する難しさがあった。何といってもインドネシア市場自体の競争が非常に厳しいため、一部の提携条項がプレッシャーになった。だが我々は早い段階からインドネシアの島々における倉庫・配送・物流を整備してきたため、我々の物流能力を知る多くのブランド企業が提携を希望した。次に偽物や劣悪な安物商品を徹底的に排除したため、ブランドを非常に重んじる事業主は我々との提携を強く望んだ」
「同社の倉庫・配送・物流スキルはやはり優れている。例えば在庫管理の精度は99.98%に達する。さらに倉庫作業における1人当たりの売上高、管理可能なSKU、タイムリーな配送など、こうした指標は強力な経験やシステムにより支えられている」
――今後の事業展開の計画について教えてください。
「我々が主に力を入れている市場は3つある。まずto CのEC小売市場、次に、主として企業顧客向けの倉庫物流ソリューション、最後にオンライン・オフラインの小売を融合した市場だ」
「具体的には、一つ目にオフラインの実店舗を自社で展開していく。例えば、2018年にジャカルタ北部で東南アジア初の無人店舗を開業したが、自社ブランドへの試みを含め、今年はより多くの店舗をオープンする予定だ。二つ目ににオフラインの大手小売チェーンと提携していく。三つ目に生鮮食品などを扱うオフラインの独立事業者とO2Oでの提携を進めていく。我々の強みは国内の経験と系統立ったスキルであり、小売とサプライチェーンという二点を軸としてやっていきたい。だが短期的にはやはり膨大な試行錯誤、学習、模索の過程があるだろう」
――今回の新型肺炎でどのような影響を受けていますか。
「甚大なマイナス影響を受けている。だが新たなニーズも生まれた。例として注文数が急速に伸びており、過去1週間で生鮮食品の注文が5倍増えた。来月には10倍前後増えると予想している。現在、我々の物流能力はピークに達しているが、こうした状況下でインドネシア最大のタクシー会社Blue Birdとの提携を進めている。同社が保有する数万台のタクシーにより、我々の注文の配送を行うというものだ。実のところ、今回の件は新型肺炎の影響下で生じた困難だが、同時にチャンスでもある。新型肺炎の影響がなければ、タクシー会社は我々と提携を結ばなかっただろう。これはとりわけ代表的な一例だ」
(翻訳・神部明果)
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