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中国スマートフォン大手の「OPPO」がここ最近、イメージチェンジを図ろうとしている。2000元(約3万円)前後だった同社のスマホ価格帯の底上げをしようとしているのだ。今年3月、OPPOはこれまでで最も高価なフラッグシップモデル「OPPO Find X2 Pro」を発表した。4月13日には、サブブランドの分割も行っている。AceシリーズをRenoシリーズから切り離し、独立させた後に標準価格3999元(約6万円)で、ゲーミング仕様の第1号機「Ace2」を発表している。
今回のAceシリーズの独立前、同社のラインナップはKシリーズ、フラッグシップモデルのRenoシリーズ(以前の人気製品Rシリーズ)とFシリーズがあった。そのうち、Kシリーズの価格帯は1000元前後(約1万5000円)と安価なマーケットシェア拡大機種だ。R/Renoシリーズはオシャレな若者層をターゲットにしたブランド志向をかき立てるシリーズモデル。Fシリーズは主に5000元(約7万5000円)以上のハイエンドフラッグシップモデルをメインとしていた。
今回のサブブランドの分割後、同社製品のすみ分けはより鮮明となった。Findシリーズはハイエンドのフラッグシップシリーズで、Apple、サムスン、ファーウェイ(華為技術)などをベンチマークした同社の最重要モデルだ。2000元(約3万円)以下のKシリーズとAシリーズはデザイン性とカメラ機能を武器にローエンド市場をカバーする。カメラ機能重視のRenoシリーズのターゲットは女性ユーザー、ゲーミング仕様のAceシリーズのメインターゲットは男性ユーザーだ。両シリーズともコスパの良いミドルレンジ市場でのシェア獲得を狙う。
転換期に伴う痛み
IDCのデータによると、2019年第3四半期、中国国内スマホ市場における同社の販売台数は前年比21.7%減で3位となった。スマホ市場全体の販売台数が減少するのに伴い、5000~6000元(約7万5000円~9万円)ランクの販売台数が18年から伸び始め、20年1月には市場シェア10%前後に達している。シャオミ(小米科技)・OPPO・vivoの3社は20年時点でモデル転換を模索しており、サムスンとAppleが長い間占めてきたハイエンド市場への参入を試みている。
ハイエンド化を推し進める中で、ファーウェイは主力モデルとなる「Mate30/P40」を、シャオミは「Mi 10」を売り出した。vivoはハイスペックモデル「NEX3」を発売している。一方、OPPOはファーウェイ、シャオミ、vivoの路線とは異なり、それぞれの持ち味を異なる製品ラインナップに散りばめている。このような戦略はコスパがより良いようにも見える。しかし、各レンジの新機種を一斉に発表することでそれぞれの機種の性能の差が曖昧となり、価格の差だけがかえって目だってしまうことにもなりかねない。今年3月に発表したFind X2 Proは、Findシリーズでは2年ぶりの新機種となった。スペックの斬新さには欠けるが、前機種よりも1000元(約1万5000円)も高い価格設定となった。
従来のスマホメーカーが長期にわたってその地位を維持していこうと思えば、短期的なデザインの向上や長期的なブランド構築が必要だ。ただ最たる基本はやはり技術的な強みを作り上げることにある。Ace2の発表の前、同社はプロゲーマーを招き中国で配信が開始された「ゲーム・フォー・ピース(和平精英)」を使ってゲーマー感覚に基づく内部テストを行った。スマホの軽量化、タッチの俊敏性の向上、放熱効果などを改良している。しかしゲーミング仕様としての立ち位置では、Aceシリーズの今後の売りとしては弱い。やはり「Black Shark」、「ROG Phone」などの高性能ゲーミングスマホにはまったく刃が立たない。
OPPOが高価な低スペックスマホから高コスパ高スペックスマホへと転換を目指し、生産ラインの最適化を図っていることはよく知られている。とはいえ、Aceシリーズが独立分割された後、その製品力が同社の販売量を拡大する使命を果たせるかどうかは、今のところ未知数だ。
(翻訳:lumu)
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