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「北京星辰万有科技(XingchenWanyou Technology)」が開発した、AIを活用した近視進行抑制ソリューション「欧欧(OO EYETECH)」に大きな注目が集まっている。中国の小中学校200校に導入したところ、期待を上回る成果を上げており、台湾・鴻海精密工業傘下のEMS(設計・製造受託)企業で、米アップル製品の製造も手がける「フォックスコン(富士康)」は星辰に約1000万元(約1億5000万円)を出資した。フォックスコンによる星辰への出資は2回目。資金は「欧欧」やその関連のスマート医療機器の研究開発に充てられる。フォックスコンは今後、研究開発、サプライチェーン、生産リソースの各方面でも援助を行う。
星辰万有の創業者は多数のユニコーン起業家を輩出している中国科学院(Chinese Academy of Sciences)の元技術者で、同社は診断に要する視力データの収集システム、視力のリアルタイム計測分析、視力回復トレーニングなどでAIを活用した近視進行抑制ソリューションを提供する。CEOの蘇振宇氏によれば、同社は病院で医師の診断に補助的に使われる従来のAI支援医療システムを改良し、医師と同じく診断まで下せる第2世代のAI医療システムを開発したという。
欧欧の特長は、眼科診断に用いてきた既存の医療機器をIoT化して、視力、眼軸長、眼底検査などの測定データをクラウドデータベースへアップ、リアルタイムで分析し、現時点での近視の有無と将来に近視が進行する可能性まで全自動で診断できることにある。従来は近視になってから病院で診断や治療が行われていたが、このソリューションにより、近視の診断を早めに行うことで近視の進行予防治療が可能になった。
「若者の場合、90%以上は目の酷使が原因で近視になる。しかも、視力は徐々に低下するため、自分で気づくのは難しい。黒板の字がはっきり読めなくなって初めて病院へ来て検査を受けるので、来院した時には治療が不可能な真性近視になっている。我々が目指すのは、ビッグデータとAIアルゴリズムによって近視が進行していくモデルを作成し、青少年の視力がまだ低下しきらないうちに治療と介入を行うことだ。病気になる前に治すという考え方だ。このようにして徹底的に近視の進行を防げば、子どもたちは眼鏡を着用せずに済む」と蘇氏は語る。
近年、中国でも近視の進行抑制はビジネスとして注目されてきている。蘇氏は、欧欧がこの分野のニーズに対応しており、集団検診での視力検査からAIによる分析と診断、近視進行抑制のための治療的介入、データ追跡までワンストップで行えるのでスマート端末という形で導入すれば、学校、家庭、眼鏡店、健診機関などでも病院へ行くのと同等の効果を達成できると言う。
また、このスマート端末を実用化するために、眼科専門医と連携し、十全な眼科データを集めて一連の技術的な課題を解決したこと、北京大学のHPC(高性能コンピューティング)センターの専門家チームと高性能AIアルゴリズムを構築していること、フォックスコンと共同で高性能なハードウェアシステムを開発していることをも明らかにした。
昨年初めに実用化されて以来、政府が数百万元(数千万円)の費用を支払って中国の小中学校200校以上に導入したという。同システムを平均2カ月使用した生徒たちの視力不良の割合は平均20%を下回った。これは中国教育部が要請した目標値の20倍である。2020年に同社は各地の代理店との提携を積極的に進め、迅速な普及拡大を目指している。
(翻訳・永野倫子、編集・後藤)
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