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新型コロナウイルスはネットスーパー業界にも明らかな影響を及ぼしており、アリババ、「京東(JD.com)」は関連する事業グループの組織改編を進めている。
経済メディア「晩点(Latepost)」によると、4月中旬、アリババ傘下のネットスーパー「天猫超市(Tmall Mart)」の事業グループが、地域小売事業グループへと組織変更された。関係者によるとこの事業グループはアリババの張勇CEOが注視する重点プロジェクトの1つになったとのこと。
アリババの地域小売事業は、天猫超市、「淘鮮達(Taoxianda)」「盒馬鮮生(Hema Fresh)」がメインとなっているが、現在この事業グループは配送チームとフードデリバリー「餓了麽(ウーラマ)」を統合しただけで、盒馬鮮生やオフライン小売店舗「天猫小店」などは、まだ統合されていないという。複数のアリババ内部および業界関係者によると、同事業グループの業務統合はまだ始まったばかりだという。
ネットスーパー事業に関する組織改編を行っているのは、アリババだけではない。36Krが独自に入手した情報によると、4月に入ってから京東の小売事業も、副総裁クラスの新ポスト任命を何度も発表している。その中でも新しく設立されたスーパー全チャネル事業グループには、既存の消費財事業部、新チャネル事業部、生鮮スーパー「7FRESH」およびオンラインスーパー「1号店(YHD.com)」が統合されており、消費財事業部の責任者であった馮軼氏が同グループの責任者となっている。
ネットスーパーの分野では、京東超市は天猫超市の最大のライバルだ。
2017年、京東超市の売上高は初めて1000億元(約1兆5000億円)を超え、天猫超市より頭一つ抜けた。昨年9月に京東超市は今後3年間で消費財の売上高を8000億元(約12兆円)以上にするという目標を掲げ、さらなる勢力拡大を目指している。
ネットスーパーはユーザーのリピート率が高いという特徴があり、これはアクティブユーザー数と定着率の増加に貢献している。新型コロナウイルスの流行によってアリババ、京東はネットスーパー事業が全体事業にもたらす作用を実感することになり、これが組織改編の契機となったのかもしれない。
アリババの地域小売事業グループの李永和総裁は、京東にも詳しい人物だ。晩点によると、アリババに入社する以前、同氏は京東で5年間働いており、京東商城倉庫部門責任者、華北地区総責任者を歴任し、2014年12月に京東商城のオペレーションシステム管理業務を全面的に担当し、京東商城オペレーションシステムの高級副総裁に就任した。
李氏は京東でのサプライチェーン管理の経験を天猫超市の施策に応用しており、同氏はネットスーパー分野における戦い方に精通している。
しかし、新型コロナウイルスの流行期間中にさらに存在感を増した京東は、くみしやすい相手ではない。京東の第1四半期の決算報告によると、同期の日用品販売の純利益は前年同期比38.2%増の525億元(約8000億円)となり、5期連続で安定した増加を達成した。過去12カ月の京東のアクティブユーザー数は、前年同期比24.8%増の3億8740万人で、この伸びは前四半期の18.6%から加速している。
京東グループ取締役会長兼CEOの劉強東氏は決算報告の中で、第1四半期の大幅なユーザー増加は、消費者が日常生活におけるニーズを満たそうとする際に、京東が果たす役割がますます大きくなっていることを意味すると強調した。
中国のオンライン小売市場において、ミドルレンジからハイエンドのユーザー層およびファミリーユーザー層における京東のシェアは依然として業界トップであり、アリババにとって京東とのネットスーパー対決は決して楽な戦いではない。
(翻訳・普洱)
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