ソーシャルEC「小紅書(RED)」、ライブ配信は独自路線 CVRと客単価が最優先

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ソーシャルECの「小紅書(RED)」はライブ配信においてEC大手「淘宝(タオバオ)」やショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」とは差別化を図り、CVR(コンバージョン率)と客単価を最優先する路線を歩むようだ。

ライブ配信を手掛けるプラットフォームが続々と増える中、昨年からライブ配信の内部テストを行っていた小紅書もこのほどライブ配信のベータテストを開始した。中国のECライブコマースはマネタイズの大きなチャンスであるため、業界のせめぎ合いも白熱化してきている。新参者である小紅書はどのようにこの市場に風穴を開けるのだろうか。

小紅書ライブへのポータル。アカウントをフォローしないと見ることができない。 画像:小紅書

ルイ・ヴィトンの初ライブコマースは賛否両論。有名ブランドのライブコマースに活路は見いだせるのか。

ルイ・ヴィトンは1カ月ほど前、小紅書で初のライブコマースを行なった。中国市場参入から30年ほどになるルイ・ヴィトンにとって、ECプラットフォームでの新作発表は今回が初めての試みだ。このライブ配信は70万人近くの視聴者を引き付け、まずまずの結果となった。

多くの視聴者を魅了した一方、ルイ・ヴィトンはブランドのイメージダウンにも直面。散らかったスタジオと薄暗い照明の中行われたルイ・ヴィトンのライブコマースを見た視聴者からは「レベルが低い」などの声が上がった。ハイブランドがライブコマースを行う狙いは、消費者との距離感を縮めることにある。とはいえ、ライブで現れた画面とクオリティーはハイブランドのステータスとは程遠いものだった。

そうはいってもブランドのライブコマースに未来がないわけではない。小紅書がルイ・ヴィトンなどのブランドのライブ配信を行う背景には、その他のライブプラットフォームとの差別化を図り、多くのECが行っている最低価格販売を良しとしない姿勢がある。小紅書のライブコマースに対する位置づけは顕著になってきている。

ルイ・ヴィトンのライブコマースの模様 画像:小紅書のライブスタジオ

ブランドマーケティングを最優先 たたき売りはしない

ライブコマースは「ライバー(配信者)中心でオンライン最安値戦略」のイメージが強い。インターネット時代におけるテレビショッピング的存在だ。ライブコマースではユーザーの消費意欲を刺激することが主な目的となる。ユーザーが購入に踏み切る最大のきっかけは魅力的な価格にある。そのため、ライバーは自らの人気を理由にサプライヤーとブランドからより安く商品を調達することで、多くのユーザーを引き付け、消費意欲をかき立てるのだ。

小紅書は「インタラクティブ配信+ライブコマース」といった独自のライブ配信サービスを行っている。小紅書は36Krの取材に対して、自社の収益は前者が9割、後者はわずか1割ほどであることを明かしている。小紅書のインタラクティブ配信の主な機能は「ブランド側のプロモーションニーズをもとに、そのブランドのトピックページを作成。該当ブランドについてユーザーが書いた記事などをそこに掲示することで、トピックページとライブコマースの内容を関連付けることができる」ことだという。これは小紅書のライブ配信の目的がやはりマーケティングであることを意味している。

小紅書プロモーションライブの規則

自社の収益に影響を及ぼすため、ハイブランドは値引き販売は望まない。小紅書でライブコマースを行ったとしても、単に一回の取引数やGMV(流通取引総額)を追い求めているのではない。より重視しているのはCVRと客単価だ。小紅書のライブ配信運用開始以降、ライブコマースが占める割合自体はわずか10%ほどにとどまっているが、CVRや客単価が高いといった特徴を呈している。中国のビジネス・ニュースメディア「晩点(LatePost)」によると、視聴者数はさほど多くないが、小紅書でライブコマースを行う事業者の月間平均客単価は800元(約1万2000円)前後で、CVRは50%に達している。

小紅書は淘宝、ショート動画アプリ「快手(Kuaishou、海外版は「Kwai」)」、抖音とは全く異なる路線を歩みつつあるようだ。これは「ファッショナブルでハイエンド」というプラットフォームのトーンとも関係しているとみられる。公式データによると、小紅書ユーザーのうち80%以上が女性で、一・二級都市ユーザーが60%以上を占め、うち70%を超えるユーザーが90後(1990年代生まれ)だ。このユーザー層の購買力は高く、消費意欲も旺盛である。そのため、小紅書はブランドマーケティングの主要サイトとなった。中国発のプチプラコスメブランド「完美日記(PERFECT DIARY)」など、爆発的人気となったドメスティックブランドも小紅書からスタートし知名度を上げた。

一方、ブランド側も小紅書でライブ配信を行うことで、より多くの露出度とプロモーションのチャンスが得られる。無名ブランドは利益も微々たるもので、そのような広告予算が取れない。そのため淘宝、快手などのプラットフォームを足がかりとして販売量を伸ばそうとする傾向にある。ただ、小紅書のECサプライチェーンにも限界はあり、ライブコマース事業の比率は比較的小さく抑えられている。そうすることでブランド管理、物流、アフターサービスなどがスムーズに行える。

2019年初頭、小紅書はユーザー総数3億人、月間アクティブユーザー(MAU)1億人に達したと発表。その後、小紅書のビジネス化は明らかに加速している。ライブコマースは小紅書のマネタイズを実現する新たなチャンスではある。とはいえ、淘宝などのECトップ企業と比べると、サプライチェーン、物流、アフターサービスなどの課題が残されている。小紅書がこの機会をしっかり生かせるのかどうかもうしばらく見守る必要がある。

(翻訳:lumu)

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