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中国で5G対応スマホの値下げが続いている。調査会社「Strategy Analytics」の集計によると、2020年第1四半期の全世界での5Gスマホの出荷台数は2400万台で、2019年の5Gスマホ年間出荷台数を超えた。出荷台数が増えたことで、5Gスマホ用のチップの価格が下がり、それがスマホ本体の値下がりの要因になっている。アップルの今後の出方によっては、アンドロイド端末がさらに値下げする可能性もある。
ミドルレンジの5Gスマホの競争
現在中国のスマホメーカーは、高価な機種でハイエンド市場の開拓に励む一方、ミドルレンジでもよりコスパのよい機種を打ち出し、シェアを獲得しようとしている。
中国初の5Gスマホであるファーウェイの「Mate 20X 5G」の価格は、発売当時の4割未満の4188元(約6万円)に下がっている。「vivo」が今年2月に発売した「Z6」、「iqoo3」も値下げを発表しており、「シャオミ(小米、Xiaomi)」の「Redmi K30 5G」は発売から半年間で2回も値下げが行われた。「Realme」は、Redmiより更に安くしようと、発売したばかりの機種「realmeX50」の値下げに踏み切るなど、価格競争が始まっている。
価格競争激化のもう一つの要因は、アップルの好調である。今年発売されたiPhone SEはすでに3000元(約4万5000円)以下で購入できるようになっており、年内にiPhone 12、iPhone12 5G、12Plus、12Pro、12Pro Maxと5機種を発表するとの観測も流れている。しかもiPhone 11よりも安価な機種もあるという。
iPhone SEの販売台数は今年上半期のトップ3に食い込んでおり、5G対応でないことを考えると、アップルの魅力はやはり強力だと言わざるを得ない。今後シャオミとファーウェイは2000元(約3万円)前後の5Gスマホを発表する予定であり、ミドルレンジでアップルのシェアをどれだけ奪えるかが注目される。
価格下落が続く5Gスマホ
IT調査会社「IDC」のレポートによると、中国国内の5Gスマホの平均価格は昨年の643ドル(約7万円)から今年の557ドル(約6万円)に下がった。
これだけの値下げが可能になったのは、サプライチェーンの変化によるところが大きい。現在5Gスマホのチップを製造しているのはファーウェイ、メディアテック、クアルコム、サムスン、「紫光展鋭(Unisoc)」などだが、独自開発をしているのはファーウェイ、サムスン、アップルだけであり、ほかはすべて「クアルコム系」に分類することができる。
しかし、クアルコムに縛られるのを良しとしないメーカーのなかには、チップを独自開発またはサプライヤー切替えの動きが出てきている。そのため、クアルコムのチップの価格が下がっているのである。
今年はじめ、ニーズが予想を下回ったことを理由に、クアルコムのSnapdragon 765チップの価格が25〜30%下がり40ドル(約4000円)となった。それにより同チップを搭載する機種の値下げも可能となった。クアルコムはほかのチップの値下げも予定しているという。
スマホのサプライチェーン関連企業に勤める関係者によると、Snapdragon 865が2019年末に発表されたときは120ドル(約1万3000円)だったが、今は70〜80ドル(約7000円〜9000円)に下がっている。販売数が増えれば、さらに安くすることも可能となり、年末までに5Gスマホの価格が1500元(約2万2000円)以下になることも想定されているという。
また、5Gスマホの中核部品である高周波デバイスの値崩れも起きている。独占禁止法の違反を回避しようと、クアルコムは外部企業が開発した高周波デバイスの認証を行っているが、これらの認証済高周波デバイスは同社の製品と競合関係にある。そのため、高周波デバイスのコストが現在の20ドル(約2000円)前後から数ドル(約数百円)に下がる可能性がある。
中核部品が安くなれば、スマホメーカーは5Gスマホのエントリーモデルからハイエンドモデルまですべてを展開できるようになる。5Gの通信環境がまだ普及しておらず、5G対応のコンテンツも少ないため、現時点で5Gスマホを購入する必要性は薄いが、すでに4Gスマホとの価格差が小さくなっている現状なら、機種交換してみるのも悪くないと考えられる。
(翻訳:小六)
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