コロナ禍のデリバリー需要は高級志向 「美団点評」1Q決算、売上高減少も客単価上昇

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フードデリバリーを主体とした生活関連O2Oサービスを手がける「美団点評(Meituan Dianping)」が25日、2020年第1四半期(2020年1~3月)の決算を発表した。

売上高は前年同期比12.6%減の167億5000万元(約2500億円)で、ブルームバーグが予想した156億元(約2400億円)を上回った。1月下旬より深刻化した新型コロナウィルスの感染拡大により、地元密着型生活サービス業界は需要側、供給側の双方で厳しい試練を迎えた。営業損失は17億元(約260億円)、調整後純損失は前年同期比79.4%減の2億1630万元(約33億円)で、ブルームバーグ予想の11億1100万元(約170億円)を大幅に下回った。2019年、美団の財務状況は継続的に改善され、3四半期連続で黒字を達成しており、通期の調整後純利益は47億元(約700億円)だった。

王興CEOは「新型コロナウィルスは生活関連サービス業界に不可避の打撃を与えた。我々は出店業者とともにこの難関を乗り切っていく」と述べ、さらに「コロナ禍によってオンラインサービスは消費者や事業者により広く受け入れられ、利用してもらえるようになった。我々が長期にわたって関心を注ぎ、また掘り下げてきた分野がまさに新たな活力を生んでいる。こうした動きが供給側のデジタル化を加速させ、さらなる成長のけん引力をなってくれることと信じている。将来的には我々が生活関連サービス業に特化した新インフラとなって出店業者のDXを全面的に支援していければ」と述べた。

さらに、感染症の影響でより多くのブランドがフードデリバリープラットフォームに参入、間接的に業界全体のオンライン化を促進し、客単価の引き上げにもつながっている。社会的に「ステイホーム」が実施される中、フードデリバリーは多くの家庭の1日3食を支える命綱となった。これまでは単身世帯の「個食」に貢献してきたが、ファミリー世帯の食事でも需要が伸びている。新規参入してきた事業者はブランド力のある企業が多く、これに伴って高品質な商品を求めるユーザーの嗜好がさらに強まったため、結果としてフードデリバリー事業全体の客単価を押し上げた。傘下の口コミサイト「大衆点評(Dianping)」が運営する「必吃榜(必食ランキング)」にランクインしたお店から注文することが一種のトレンドとなっており、特に家族向けの火鍋やシーフードグリル、各地のご当地グルメなど高単価のオーダーが前年同期より急速に増えた。遠距離配送などの受注も増え、客単価の上昇につながっている。

ユーザー数と利用頻度に関しては、2020年3月31日までの12カ月間において取引の発生したユーザー数は4億5000万人で、取引回数は1人当たり年平均26.2回となった。

事業別にみると、美団の成長をけん引してきた主力のフードデリバリー事業は苦境に立たされた。売上高は前年同期比11.4%減の95億元(約1400億円)で、1日当たりの平均受注件数は同18.2%減の1510万件だった。とはいえ、多くの飲食店にとってデリバリーサービスはコロナ禍における主要収入源であり、「必吃榜」に掲載されている飲食店の5割以上がデリバリーサービスを開始した。

デリバリー事業、ホテル・トラベル事業、新規事業&その他

インストア、ホテル&トラベル事業の売上高は前年同期比31.1%減の31億元(約470億円)だった。営業利益は前四半期、前年同期と比べいずれも減少している。しかし美団はコロナ禍で打撃を被った優良業者については手数料免除あるいは返還の措置を採っており、無料のトラフィック獲得支援などさまざまな支援策を講じている。新型コロナウィルスの震源地となった武漢市の事業者に対しては総額にして3000万元(約4億5000万円)に上る手数料を免除した。

新規事業については、生鮮食品販売を筆頭とする飲食以外の需要が急増したことを受け、売上高は前年同期比4.9%増の42億元(約630億円)となった。フードデリバリー事業に次ぐ第二の収益源に成長している。 

美団はコロナ禍が通期に及ぼす影響について、「ユーザーの消費意欲を完全に取り戻すにはまだ時間がかかる。とくに地域密着型生活関連サービスは復調へのプレッシャーがいまだ大きく、将来的な業績に影響してくるだろう」としている。陳少暉CFOは、パンデミックによって業界のオンライン化が長期的に進んでいくことは好ましい影響だとしたうえで、プラットフォームへの出店事業者や業界全体が対峙している困難について引き続き注目していくとし、「いかに出店事業者の経営状態を回復に導いていくかだ今年の重要課題だ」と述べた。

(翻訳・愛玉)

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