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過熱する中国の「人工肉市場」に、新たに2つの大手企業が参戦した。
人気ティーブランド「HEYTEA(喜茶)」が5月18日、中国初の人工肉スタートアップ「STARFIELD(星期零)」と提携し、人工肉を使ったチーズバーガー「未来肉芝士堡」を発売することを発表した。5月20日には食品世界大手ネスレが1億スイスフラン(約111億2300万元)を増資し、同社にとってアジア初となる人工肉工場を建設することを発表した。これに先立ち、スターバックスが人工肉を使用したランチセットを販売して人気となっており、人気ティーブランド「奈雪の茶(Nayuki)」の人工肉を使った3種類の商品も発売から1時間で売り切れとなった。
人工肉市場の盛り上がりは、奈雪の茶、スターバックス、HEYTEAなどの企業がこの市場への参入を決める要因となった。いち早く関連商品を発売すれば、この有望な新興市場で迅速にシェアを獲得できるだけでなく、新たな利益増加にも繋がるからである。
初期市場に潜むリスク
多くの人気ティーブランドは人工肉に対して、大きな信頼と期待を寄せているが、中国の人工肉市場は依然として初期段階にあり、参入する企業が直面するリスクは小さくない。
人工肉はまだ技術の研究開発期にあり、研究開発にかかるコストが大きいため、生産コストも高いままだ。米国最大手の人工肉メーカー「ビヨンド・ミート(Beyond Meat)」を例にとると、同社の植物肉は500gで150元(約2250円)程度で、一般的な豚肉の市場価格よりはるかに高い。
また、人工肉の製造技術はまだ完成されていないため、食感や匂いなどの点において本物の肉類の完全な代替品にはなり得ない。植物肉を手掛けるフードテック企業「Vesta(未食達科技)」の営業統括責任者である李少博氏は「現在のところ、植物肉の優位性は多くの消費者を惹きつけるには十分ではない。中国国内の植物肉には、安定して家庭の食卓に提供できる製品がまだ存在せず、本物の肉類と比較しても価格の点で負けている。また、業界内の製造基準も明確ではない」と述べている。
人工肉商品のブームの背景には、消費者の人工肉関連商品に対する興味が入り交じっている。「人工肉を使ったナゲットの食感はそれなりに鶏肉に近いが、ハンバーガーの植物肉の食感はスパムに近く、本物の肉とは比べものにならない。しかし食べたことのない人が一度ぐらい試してみるのは悪くない」と人々は考えている。
現段階では、人工肉を消費者が珍しさだけで食べるような一過性のブームで終わらせず、いかにして消費を継続させるかが、奈雪の茶など人工肉製品を提供する企業の課題となっている。より良い人工肉商品の開発を続けることに加えて、人工肉の製造技術のさらなる発展を待ってコストや食感の問題を解決する必要がある。
人工肉商品ブームの仕掛け役
中国国内の人工肉市場の成長は小さなピークを迎えており、市場のポテンシャルもはっきりと見えてきた。国内外の人工肉メーカーは中国市場を新たな「ブルーオーシャン」と見なしている。「中国植物性食品産業連盟(CPBFA)」の薛岩秘書長は「1~2社の新たなメーカーが2週間ごとに誕生している。また複数の大手食品企業が植物肉製造に参入している」と語った。
次々と誕生する人工肉メーカーが、ティーブランドやカフェによって発売される人工肉を使った新商品の影の仕掛け役だ。例えばスターバックスに人工肉を提供しているのはビヨンド・ミートで、奈雪の茶やHEYTEAに人工肉を提供しているのはSTARFIELDだ。
ビヨンド・ミートは2019年5月にナスダックに上場し、「世界初の人工肉関連株」と呼ばれている。今年4月下旬、ビヨンド・ミートがスターバックスとの提携により正式に中国市場に進出したことに伴い、中国A株市場において人工肉関連の概念株が一斉に上昇した。
STARFIELDは3月12日に「経緯中国(MatrixPartners China)」「愉悦資本(Joy Capital)」などがリード・インベスターを務めるプレシリーズAで数千万元(数億円)の資金を調達している。これはこれまでに明らかになっている中国の人工肉企業への出資としては、最大規模の金額となる。このほか、香港の人工肉ブランド「OmniPork」は昨年から、人工鶏肉と人工豚肉をEC大手の「天猫(Tmall)」で販売している。また、ビヨンド・ミートの主な競合相手である米フードテック企業「インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)」は4月にシリーズFで5億ドル(約536億円)を調達しており、中国市場への進出を計画している。
人工肉関連製品にはどのように実用化するかという課題があるにも関わらず、人工肉メーカーの市場進出は意外なほどスムーズだった。
国内外の人工肉メーカーが中国のECプラットフォームに直接出店して商品を販売したり、飲食・ドリンク企業との提携によって人工肉を使った商品を発売したりするなど様々な方法で市場へ進出し始めたことにより、これまでそれほど激しい争いのなかった人工肉市場で、激しい市場シェア争奪戦が始まっている。
作者:鋅刻度 (Wechat ID:znkedu) 許偉
(翻訳・普洱)
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