【徹底比較】創業3年で店舗数がセブンーイレブンを超えたスマートコンビニ「便利蜂」 成功の鍵とは(二)

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【徹底比較】創業3年で店舗数がセブンーイレブンを超えたスマートコンビニ「便利蜂」 成功の鍵とは(二)

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無人スマートコンビニ「便利蜂(Bianlifeng)」は3年前の創業から怒濤の快進撃を続けており、現時点で全国20都市に1500店以上を出店している。5月下旬には北京地区の500を超える店舗で黒字化を果たしたと発表した。

コンビニエンスストア業界では、一般的に各店舗のオープンから黒字化までに7年かかるといわれている。さらにコンビニ運営企業自体の黒字化となればはるか先になるだろう。多くの老舗コンビニ運営企業が現在でも最終黒字となっていないのがその実例であり、統計基準も厳密だ。北京市場における便利蜂の黒字化の速さは認めざるを得ない。

便利蜂はどのようにしてこれほどまでに急速な拡大と黒字化を実現したのだろうか。その答えはやはりデジタル化の中に隠されていた。

【徹底比較】創業3年で店舗数がセブンーイレブンを超えたスマートコンビニ「便利蜂」 成功の鍵とは(一)

中国での現地化

便利蜂はアルゴリズムにより「どう売るか」を指導できるようになったが、「何を売るか」に関する問題が残されている。周知のとおり、コンビニで最も大きな利益が見込めるのは中食であり、例として日本のセブンーイレブンでは中食が全商品の売上高の半数、また中食および牛乳・乳飲料といった当日配達商品の粗利率は6割にも達するという。

日本のコンビニでは、中食は主に弁当、おにぎり、パン、総菜など管理温度の異なる新鮮な食品を指し、こうした食品は日本国内の状況にマッチしていることから、日常生活の中で消費者から真っ先に選ばれている。

このうち最も重要なのが価格の安さと味だ。日本のコンビニの中食は産業化されたラインで生産されており、居酒屋などの飲食店の価格に比べ5割近く安価だ。また当日配達商品は真空保存された食品よりも美味しい。

一方、中国ではこうした条件は完全にはあてはまらない。価格面では、中国の小規模店舗で販売される食品はコンビニの弁当より安く、食品の種類も格段に豊富だ。より重要なのは、世界で最も温かい食品を好んで食べるのが中国人だという点であり、これは日本で人気のおにぎりや弁当といった冷たい食品が中国では受けないということを意味する。

便利蜂は創業当初からこうした事実を見据え、北京のセブンーイレブンの店舗が模索した方法と同様、中国人の習慣により適した温かい弁当を発売してきた。こうした商品は主にオフィスワーカーのランチでの消費を想定しており、現に定価30元(約450円)以下でおかずの種類が多く衛生的なお弁当が人気を博している。2018年になると、温かいお弁当は便利蜂の看板商品となり、売上高の3分の1を占めるようになった。

便利蜂は弁当のおかずもアルゴリズムをベースに決定しており、全てのおかずは消費者の購入データに基づき店舗で販売を続けるか否かが決定される。さらには各地域の好みに応じた商品投入の差異化も可能だ。

食品の供給についてみると、日本では40年前にセブンーイレブンの主導により日本デリカフーズ協同組合が設立され、セブンーイレブンの店舗向けの弁当、おにぎり、パンなどの中食を製造してきた。便利蜂の立ち上げメンバーはセブンーイレブン北京本部の元幹部であるためか、便利蜂は2017年に北京のセブンーイレブンの中食提携工場「呀咪呀咪食品」にいち早く出資し、創業当初から中食のサプライチェーンを確保している。

便利蜂は現時点で北京に中食製造工場を2か所保有し、天津市武清区にも敷地面積約2万平方メートルの第3工場の建設を予定している。天津工場の完成後は、華北地域で5000件のコンビニに商品を供給できるようになる。

全ては上場に向けた方策?

荘氏は便利蜂の創業時、次のように語っている。「我々が投資するのは10年後の中国人の消費水準であって現在の消費水準ではない。我々は中国人の消費水準が上昇し続けると信じている」

便利蜂はIT企業と非常によく似た成長プロセスを経ている。事業展開の高度なデジタル化に加え、発展段階の設計においても、1~3年でビジネスモデルの定着化、3~5年で規模拡大、5年で上場というIT企業のステップに則っている。

唯一異なるのが、利益率の低いコンビニ業界はIT企業と違い資本市場に高く評価されていない点だ(実際のところ、中国には上場済みのコンビニ運営企業が一社も存在しない)。便利蜂は創業わずか3年で最大の単一地域市場である北京で黒字化を実現した。これらが将来的な市場価値を引き上げ、上場を確実なものとするための安全策であることは想像に難くない。

作者:新零售老板内参(Wechat ID:lslb168)、趙小米

(翻訳・神部明果)

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