原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
今年に入ってから、時価総額100億ドル(約1兆1000億円)以上(6月10日時点、以下同じ)の36の中国概念株企業のうち、約2割が社債を発行した。「台湾積体電路製造(以下「TSMC」)」は3度も発行し、テンセント・ホールディングスは中国企業による今年最大規模のドル建て債券を発行。スマホ・スマート家電大手の「シャオミ(小米、Xiaomi)」は4月に国内・国外でそれぞれ初めて債券を発行した。
上記3社はいずれも時価総額が高く、負債比率とキャッシュ・フローに問題があるわけでもない。2019年12月31日時点のデータでは、TSMCとシャオミの負債比率は業界平均より低く、テンセントは業界平均よりやや高い程度だ。営業活動によるキャッシュ・フローでは3社とも業界平均を上回っている。
海外では、アップル、アマゾンのような巨大企業も今年に入ってから社債を発行した。経営状況が好調な企業が社債を積極的に発行する背景として、各国の景気刺激策により低金利が続き、低コストで債券を発行することができるため、大企業がこれを機に資金の確保に動いたことが挙げられる。金融データ企業の「Dealogic」の集計によると、2020年第1四半期の全世界の債券発行額は前年同期比5%増の2.07兆ドル(約224兆円)となり、第1四半期としては史上最高額となった。
各企業自身の戦略からも債券発行の理由が伺える。TSMCは4月末に140億台湾ドル(約500億円)の債券を発行、工場の建設と改築、汚染防止設備の増設に使うとした。5月15日には、米国アリゾナ州で工場を新設し、2021年〜2029年までに計120億ドル(約1兆3000億円)を投資すると表明。債券発行は事業拡大のためだと言える。
テンセントは債券発行を公表する数日前に、クラウド・コンピューティング、AI、ブロックチェーンにおいて今後5年間で5000億元(約7兆5000億円)を投資すると発表しており、同じく事業拡大が債券発行の理由である。それに加え、今回発行された債券の償還期限は最長40年であり、こうした超長期社債で債務構造を改善する狙いもあるだろう。
シャオミの場合は、債務の借り換えと国内外での資金調達ルートを開拓したいという狙いがある。シャオミは4月2日に中国国内で初めて一般債券を10億元(約150億円)分発行、償還期限は1年、表面利率は2.78%だった。調達した資金の20%は新型コロナ対策に、その他は営業活動と国内での債務返済に当てるという。
4月23日、シャオミは海外でも一般債券を6億ドル(約650億円)分発行。償還期限は10年、表面利率は3.375%だった。調達した資金は一般的な経営事項と債務の返済に使われるといい、同社の債券の応募倍率は8.5倍に達した。テンセントの債券も数倍に達し、応募額は360億ドル(約3兆9000億円)に上ったという。
社債発行の情報は流通市場をも刺激し、情報公開以降、シャオミの株価は30%近く上がり、TSMCとテンセント・ホールディングスは7%上がった。
(翻訳:小六)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録