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中国概念株(国内に収入源があるものの国外で上場している中国企業の株)の非公開化が一斉に始まっている。7月6日夜、中国ネットサービス大手「新浪(Sina)」は公式サイトで、董事長兼CEOの曹国偉氏が保有する持株会社「New Wave MMXV Limited」から拘束力を持たない非公開化の提案を受けたことを明らかにした。
過去3カ月弱の間に、計5社の中国概念株の非公開化が正式に発表、またはその意向が伝えられている。
36Krが複数の投資銀行関係者に取材を行った結果、香港株のセカンダリー上場における「時価総額が400億香港ドル(約5600億円)を下回らない、または時価総額が100億香港ドル(約1400億円)を下回らず、直近1年間の売上高が最低10億香港ドル(約140億円)」という基準に基づき統計すると、こうした基準を満たす米国に上場中の中国概念株保有企業は30社近く存在することが分かった。こうした状況の中、中国概念株を保有する大多数の企業が、ゆるやかに非公開化に向かう可能性は非常に高い。
進む中国概念株の非公開化 米国での規制強化と中国国内の制度改革が背景に(一)
非公開化は複数の中堅企業による選択肢
注目すべきは、非公開化企業の多くが中堅企業であることだ。
「アリババ、京東(JD.com)、網易(Netease)の国内回帰はいずれも重複上場によるもの。株主が巨額の資金を調達し短期間のうちに株式を買い戻すのは非常に困難」だと「承珞資本(Chengluo Ziben)」のパートナー徐泯穂氏は語る。
「だが中堅企業の非公開化はそれほど多額の資金を必要としない。さらに一部の中堅企業にとって、米国株はすでに良好な資金調達手段ではなくなっている可能性がある。二カ国での上場では企業側の負担がさらに増大するため、いっそ上場を廃止したほうが好都合なのだ」
公式データによると、58同城の非公開化の提案額は87億ドル(約9300億円)、また易車は約11億ドル(約1200億円)となっている。36Krの予測では、網易も非公開化により上場を廃止しセカンダリー上場を果たした場合、7月6日の米国株終値の440.04ドル(約4万7000円)を人民元に試算すると、非公開化には約867億ドル(約9兆2800億円)もの巨額の資金が必要となる。
7月6日の取引終了時点で、58同城の時価総額は80億8200万ドル(約8600億円)、また新浪の時価総額は26億5100万ドル(約2800億円)、2019年の売上高は21億6000万ドル(約2300億円)で冒頭に述べた香港市場でのセカンダリー上場の基準を満たしている。一方、易車の時価総額は11億2500万ドル(約1200億円)で基準に達していない。
徐氏の分析によると「こうした条件を満たす企業はわずか30社弱にすぎず、残りの約250社が国内回帰する場合、非公開化が最大の選択肢となる可能性が高い」という。
非公開化後の選択肢は
中国概念株の非公開化後は、香港市場または中国市場(A株)に上場するか、あるいは資本市場から完全に撤退するかのどちらかになる。
取材を通して、香港市場はこうした非公開化の道を選択した中国概念株が優先的に選択する市場であることが分かった。これは香港株の資本市場制度および企業の事業に対する要件によるものだ。
マクロ環境においては、香港取引所の改革が進み、結果として中国概念株の香港回帰が主流となっている。また企業経営の視点でいえば、外貨を主力業務とする企業は香港株を選ぶ傾向が強い。香港株では株式の割り当てや追加発行も比較的容易で、香港市場は資金調達のニーズが頻繁な企業にとってもより好都合だからだ。
また、A株に変更する場合、企業の非公開化後のプロセスにもより時間がかかる。「企業数のみでみても、A株で上場希望の企業は多く、創業板だけでも200社が承認待ちの状況。奇虎360の例をとっても、非公開化によるA株回帰においてはVIEスキームを解体し裏口上場を果たしており、トータルで約2年の歳月を費やしている」と陳氏は話す。
とはいえ、ファンダメンタルズが良好とはいえない企業がたとえ香港で上場したとしても、上場早々に公募割れという現実に直面するおそれがある点には注意したい。陳氏はこうした状況が常態化すると考えており、公募割れは香港市場においては日常茶飯事だと述べる。「東方財富(Eastmoney)」のchoiceデータによると、2019年には165種の新株が上場したが、52%に上る86種の新株で公募割れとなっている。
当然ながら、再上場はこうした非公開化企業の唯一の選択肢ではない。上場廃止後にセカンダリーマーケットを離れることを選ぶ非公開化企業もある。例えば聚美優品は4月に非公開化されて以降、セカンダリーマーケットでの株式取引の意向は公に伝えられていない。
(翻訳・神部明果)
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