EVメーカー「NIO」、バッテリー資産管理会社を新設 車載電池最大手CATLが出資

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複数の消息筋からの情報によると、中国の新興EVメーカー蔚来汽車(NIO)がバッテリーを資産として管理する会社の新設を計画しており、新会社でBaaS(Battery as a Service)事業を運営する予定だという。同バッテリー資産管理会社は資金調達を進めており、中国の動力電池大手「寧徳時代(CATL)」がすでに出資を表明している。また、蔚来はエネルギー系ファンドからの資金調達も目指している。

バッテリー資産管理会社は蔚来傘下の充電サービス事業子会社「蔚来能源(NIO Power)」が立ち上げ、8月を目処に設立する予定。このことについて、蔚来は「公式発表を待ってほしい」と話し、寧徳時代からはコメントを得られなかった。

新興EVメーカーのなかで、蔚来だけがバッテリーパック交換という方式を採用しており、現在全国61都市で137の電池交換ステーションを所有している。蔚来の李斌CEOは、これまで繰り返しEVの車両本体とバッテリーを分けて販売するというコンセプトを語っており、今年第1四半期に行われた業績発表会においても、第3四半期から車両本体のみの販売を開始することを再度表明した。中国の規制当局への届け出情報を見る限りでは、2車種の販売を予定しているようである。

車両本体のみを購入する場合、バッテリーはBaaSの形で利用することになる。蔚来は携帯電話の通話プランと同様のサービスを計画しており、走行距離の違いによって、複数の月額料金プランを用意している。長く走れば走るほど、距離あたりのコストが安くなるという。

蔚来はBaaSによって車両本体の価格が下がり、販売台数の増加につながることを期待している。しかし、蔚来ではすでにバッテリーのリース契約を可能にしており、そのシステムを利用すれば車両価格が35.8万元(約540万円)から23.8万元(約360万円)に下がる。そのため、BaaSを利用する場合の車両価格をこれよりも安くできるのか、疑問視する声もある。

蔚来のバッテリーリースプラン、画像はSNSでの広告のスクリーンショット

昨年の蔚来は一時会社の存続が危ぶまれるほどの経営危機に陥っていたが、今年に入ってからは販売台数が急増している。そのことにより、今年1月〜6月までの寧徳時代の電池の総設備容量のうち、蔚来の分が18%を占め、最大の比重を占めるに至ったのである。そのため、蔚来の電池調達コストは従来の1キロワット時あたり1元(約15円)以上から、0.8元(約12円)強に下がった。

寧徳時代が蔚来のバッテリー資産管理会社へ出資するのは、取引先としての重要性からだけではない。同社は電池を販売以外の形で活用していくことを早くから検討しており、2019年6月には、寧徳時代、アリババの傘下のアント・フィナンシャル、自電車シェアリングの「哈囉出行(Hello Global)」が共同で10億元(約150億円)を出資し、電気自転車のバッテリー交換サービスを運営する会社を新設することを発表した。

蔚来自身も、バッテリー資産管理会社への投資を予定しているため、資金の確保に動いている。同社は6月29日に株主から73.56億元(約1100億円)の追加出資を受け、7月10日には、中国の6大銀行との間で104億元(約1600億円)の与信枠を設定した。

蔚来がこのような戦略に果敢に挑む背景には、中国が国家戦略のなかでバッテリー交換型のEVを重要視していることが挙げられる。今年の全人代の記者会見において、工業情報化部の部長はバッテリー交換施設の建設をさらに進めることを表明し、「政府活動報告」でも「充電スタンド、バッテリーパック交換ステーションを増やしていく」との記述が追加された。それを受け、蔚来だけでなく、「吉利(Geely)」、「上海汽車(SAIC Motor Corporation Limited)」もバッテリー交換型の車種を発表した。

現在の有力EVメーカーを見ると、テスラはスマート化路線を突き進んでおり、最先端の技術を持つ製品で高い粗利率を実現している。中国の「小鵬汽車(Xpeng)」と「理想汽車(LEADING IDEAL)」も同じ路線だ。一方、蔚来は技術よりも、特徴的なサービスを売りにしており、BaaSだけではなく、他社の充電スタンドとの併用などにも動き出している。李斌CEOの構想や今後の蔚来の戦略はどうなるのか、まさに今が重要な時期だと言える。

(翻訳:小六)

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