日本進出も計画中 中国動画配信「iQiyi」、NetflixやBBCの役員の引き抜きも

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中国IT大手バイドゥ(百度)の系列企業、動画配信サイト「愛奇芸(iQiyi)」の会員および海外業務グループ(MOG)総裁である楊向華氏は先ごろ、海外事業は本社の北京と海外本部のシンガポールをミドルオフィスとし、組織の体制も整えたと語った。

愛奇芸の海外版は現在中国語のコンテンツを主に配信しているが、今後日本、韓国、タイなどアジア文化のコンテンツを提供する計画で、これらの地域でもオリジナルコンテンツを手がける組織を立ち上げているところだ。

現時点ではタイ、マレーシア、フィリピンとインドネシアなどに現地事務所を置いており、将来的には韓国、日本、中東などでも現地組織を設立する計画だという。

愛奇芸が海外市場に参入する際は、現地メディアや通信キャリアと提携し、そのネットワークとインフラを活用してユーザーを獲得している。現在、マレーシア最大手メディア企業Astroと、またスマートテレビやスマートフォンのメーカーとしてサムスン、ファーウェイ、シャオミ(小米科技)などと提携している。

中国での視聴回数の増加が伸び悩む中、海外は成長が見込める市場で、新たな有料会員が獲得できる。2019年6月、愛奇芸は正式に海外版をリリースした。同年12月、愛奇芸の創業者である龔宇CEOはロイター通信の取材に対し、今後5年以内に有料会員の半分以上を海外で獲得する計画だと話している。

しかし、愛奇芸は海外進出で多くの課題に直面する。楊総裁は、最大の課題は文化と市場の違いにあるとみて、「現地の人に好まれる作品をいかに提供するかが問題だ。同時に現地の市場を理解し適応しなければならない。問題解決には優秀な人材が必要だ」と語った。

年初以来、愛奇芸は国際化と現地化に詳しい海外事業担当の役員を招いている。中でも最も有名なのは、今年6月にNetflixから引き抜いた郭又銓(Kuek Yu-Chuang)氏だ。郭氏は2016年からNetflixバイスプレジデント、アジア太平洋地域の担当役員を務めた。現在は愛奇芸の国際事業担当副総裁だ。

他にも、タイ事業の統括には英公共放送BBC傘下の制作・配給会社BBCワールドワイドで大中華圏のマネジメントを務めていたKelvin Yau氏、フィリピン、マレーシア、インドネシア事業などでは東南アジアのストリーミングメディア「iflix」からも2人を招き、愛インドネシア事業の責任者にはライブ配信プラットフォーム大手の「YY(歓聚時代)」でインドネシア事業を統括していた人物を招聘している。

愛奇芸はDisney+など海外大手との競争にも直面する。現在アジア太平洋や中東などNetflixの普及率が比較的低い地域から進出する戦略を取っているが、予測データによると、2025年までにアジア太平洋、ヨーロッパ、アフリカではNetflixが最も急速に普及するとみられている。

Netflixの世界主要都市での普及率 データ出所:Statista

このほか、中国発のショート動画アプリ「TikTok」が使用禁止となったことを考えると、海外進出を図る愛奇芸、動画共有サービス「騰訊視頻(テンセントビデオ)」なども、カントリーリスクに特に注意しなければならない。

(翻訳・二胡)

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