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中国の新興EVメーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」がシリーズC+で5億ドル(約530億円)を調達してから半月足らず、またも3億ドル(約320億円)の資金を獲得した。今回の出資を主導したのは中国EC最大手のアリババで、カタール投資庁(QIA)などが出資に加わった。
小鵬汽車がシリーズC+で5億ドルを調達することを発表したのは7月20日。このラウンドにおける主な出資者は「Aspex Management」「Coatue Management」「高瓴資本(Hillhouse Capital)」「セコイア・キャピタル・チャイナ(紅杉資本)」だった。
それからわずか10日あまり、小鵬汽車は3億ドルを超える新たな資金調達の合意に達し、「協議はほぼ完了している」という。シリーズC+で総額8億ドル(約850億円)以上を調達したことになる。
この件に関して、小鵬汽車側は「ノーコメント」としている。
シリーズC+の資金調達が順調に進むなか、小鵬汽車の米国上場の計画も加速している。同社と関わりのある複数の投資家が明らかにしたところでは、IPOの日程もすでに確定しており、「早ければ8月中、遅くとも9月」とのこと。この上場計画についても小鵬汽車からの回答は得られていない。
7月30日、同じく中国新興EVメーカーの「理想汽車(LEADING IDEAL)」が米ナスダック市場に上場、初日の終値は実に43%の値上がりとなった。新規公開株の購入に際して、理想汽車の株式割り当て分は争奪戦となり、公募価格が当初予定していた最高10ドル(約1060円)から11.5ドル(約1220円)に引き上げられた経緯がある。小鵬汽車がこれほど上場を急ぐのも、資本市場が過熱しているタイミングを逃したくないとの思惑があるのだろう。
新興EVメーカーによる上場前の資金調達では、このところ大手IT企業の参入が目立っている。理想汽車は昨年8月、O2O生活関連サービス「美団点評(Meituan Dianping)」の王興CEO個人からシリーズCで3億ドルの出資を受けたのに続き、今年7月のシリーズDとIPOでも王興氏と美団グループからの増資を受けた。王興CEOおよび美団は総額12億ドル(約1270億円)を出資し、筆頭株主となっている。そして、新興EVメーカーのプレIPOに参入しているもう一つのIT大手がアリババだ。
「小鵬汽車が今回調達した3億ドルのうち、ほとんどはアリババが出資したものだ」とある情報筋は明かす。
「BAT」と呼ばれるバイドゥ、アリババ、テンセントのIT大手3社は早くからそれぞれ異なる新興EVメーカーに出資を行ってきた。アリババは小鵬汽車のシリーズA+、B、B+で出資に参加、テンセントは「蔚来汽車(NIO)」の第2の大株主になっており、バイドゥは「威馬汽車(WM Motor)」に複数にわたり資金を提供してきた。
しかし2019年になると、3社ともに新エネルギー車への資金援助に対する姿勢に変化が生じ、それまでの勢いは影を潜めるようになる。昨年の下半期、蔚来汽車は資金難から存亡の瀬戸際に立たされたが、大株主テンセントは1億ドル(約106億円)の転換社債を購入するにとどまった。小鵬汽車がシリーズCで資金調達を行った際にも、戦略投資家として迎え入れられたのはアリババではなく中国スマホ・家電大手のシャオミだった。
複数の新興EVメーカーに投資し、BATの経営陣とも交流のある投資家は、短期的には自動車メーカーとIT大手との事業連携はそれほど多くないとしつつ、「本当のスマートモビリティ時代が到来すれば、IT大手企業とスマートカーの距離はぐっと縮まるだろう」と語る。現状を見ている限り、この見立てに間違いはなさそうだ。
(翻訳・畠中裕子)
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