中国の新興EVメーカーが続々と上場へ その理由は

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新型コロナ禍の影響で、元々低迷していた自動車産業はさらなる苦境に陥っていたが、この1カ月ほど、中国の新興EVメーカーの上場に関する動きが活発化している。「小鵬汽車(Xpeng)」に近い関係者によると、同社は早ければ今年8月、遅くとも9月に米国で上場を申請するという。7月30日には、「理想汽車(LEADING IDEAL)」がナスダック上場を果たした。また、「威馬汽車(WM Motor)」は年内、哪吒汽車(HOZON Auto)」は2021年に科創板(スターマーケット)で上場するという情報が流れている。

なぜ新興EVメーカーはこの時期に一斉に上場を目指すようになったのか。上場するならどの市場がよいのか、上場すればすべてがうまくいくのか、一つずつ考えてみたい。

「先に上場した方が生き残れる」

画像は蔚来汽車より

約5年前には、中国に50以上の新興EVメーカーがあったが、今年上半期の時点で、車を販売した際に加入を義務付けられている自賠責保険に加入した記録のある企業は20社しかなく、しかもそのうちの91%を「蔚来(NIO)」、威馬、理想、小鵬、哪吒の5社が占めている。その意味で、この5社は最初の競争を勝ち抜いたと言うことができ、現在上場し、あるいは上場を目指している状態である。

新興EVメーカーが上場を急ぐ要因として、中国自動車ディーラー連合会に所属する投資企業の曹鶴総裁は、「海外市場には、同時に5社もの中国の新興EVメーカーを受け入れるだけのキャパシティがない。したがって、先に上場した方が生き残れる」との認識を示した。

また、曹氏は新興EVメーカーへの投資はすでに5年近く経過しているため、投資家がエグジットを視野に入れていることも上場を目指す要因だと指摘した。

他の要因として指摘できるのは、プライマリーマーケットでは、新興EVメーカーが必要とするほどの資金を出せなくなっていることである。EVの開発は巨額の経費を必要とし、その上黒字化が難しいため、絶えず資金を求めている。上場すれば、より幅広いチャネルから資金調達することができるようになり、今後の開発、生産体制の確保、マーケティング戦略にも大きくプラスに働く。

米国上場か科創板か

上場をしなければならないことは確かだが、どこで上場するのかは難しい問題だ。蔚来と理想汽車がナスダックに上場し、小鵬汽車も米国上場を目指していることからも、米国の魅力はやはり大きいと言わざるを得ない。しかし、米国での上場はリスクや不確実性が高いと前出の曹氏は指摘する。上場申請しても却下される可能性があるのである。

科創板での上場を目指しているのは威馬汽車と哪吒汽車である。科創板は今年に入ってからIPOのハードル下げ、黒字化したことのない企業、レッドチップ企業、デュアル・クラス・ストックを採用する企業の上場を許可している。

しかし、それでも新興EVメーカーが科創板で上場するのは容易ではない。「華泰証券(Huatai Securities)」のアナリストは、技術開発に特化したハイテク企業と比べ、赤字続きの新興EVメーカーの上場は遅れる可能性があると指摘する。新興EVメーカーに技術などを供給しているサプライヤーのなかにも科創板での上場を申請している企業が多数あり、これらの企業のほうがより優先される可能性があるというのだ。

また、A株では科創板の上場廃止制度がもっとも厳しく定められており、他の市場のような上場一時停止や再開の制度がなく、基準を満たした時点で上場廃止となる。重大な違法行為があれば、永続的に廃止となる。

画像は哪吒汽車より

IPO後の楽観視できない未来

上場できたとしても、新興EVメーカーの経営状況が好転するとは限らない。

IPOすれば、財務データを包み隠さず公表しなければならず、巨額の赤字が続くようなら、株価に響くだろう。それによる時価総額の低下の影響のほかに、潜在的な投資家が投資契約の中心的条項においてより多くの要求を突きつけてくる可能性がある。

画像は「長安汽車(Changan Automobile)」より

また、市場環境が芳しくないため、新エネルギー車への投資に二の足を踏む投資家が増えてくると思われる。中国自動車協会の集計によると、今年上半期の新エネルギー車の販売台数は前年同期比36.5%減少した。政府からの補助金も減額する予定で、2020年〜2022年にかけて、補助金はそれぞれ前年より10%、20%、30%減額される予定だ。

新興EVメーカーがいつまでも黒字化できないようであれば、投資家も我慢し続けることはできない。理想汽車に出資した「藍馳創投(BlueRun Ventures)」のパートナー朱天宇氏は、最終的に投資家が見るのは収益力であり、時価総額ではないと話す。つまり、上場できたとしても、製品の競争力を上げ、キャッシュ・フローのプラスが実現できなければ、企業は苦しみ続けることになるのである。

(翻訳:小六)

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