中国飲料メーカー「農夫山泉」上場後に株価が急騰 好調の要因に迫る

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

中国飲料メーカー「農夫山泉」上場後に株価が急騰 好調の要因に迫る

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

9月8日、中国ボトルウオーターメーカー「農夫山泉(Nongfu Spring)」が香港で上場し、寄り付きが39.8香港ドル(約560円)と、発行価格から85.12%上昇した。時価総額は4452.92億香港ドル(約6兆2000億円)になり、そのため創業者の鐘睒睒氏は資産額が5000億香港ドル(約7兆円)となり、テンセントのポニー・マー氏、アリババのジャック・マー氏を上回り、長者番付で中国1位となった。

8月末の公募段階でも農夫山泉は大変人気があり、購入希望者70万人以上、倍率は1148.3倍にもなった。また、調達額は6709.5億香港ドル(約9兆4000億円)で、香港市場史上最高額となった。

高利益率のミネラルウォーター

2017年〜2019年を振り返ると、農夫山泉の売上高は業界平均より遥かに高い174.91億元(約2600億円)、204.75億元(約3000億円)、240.21億元(約3600億円)となっており、年平均成長率は17.2%という高水準だ。一方、同時期の全世界のソフトドリンク業界の伸び率は3.1%、中国は5.8%だった。

上記3年間の純利益は33.85億元(約500億円)、36.12億元(約540億円)と49.54億元(約740億円)であり、これも業界平均を大きく上回っている。その中で売上高の大半を占めるのが、ミネラルウォーターである。

2017年〜2019年、同社の容器入りミネラルウォーターの粗利率は60.5%、56.5%、60.2%であった。それに対し、ともに台湾の食品大手である「康師傅(Master Kong)」と「統一企業(Uni-Presiden)」のソフトドリンク事業の粗利率は、33.69%と39.9%しかない。

農夫山泉がこれほど高い粗利率を挙げられるのは、同社が優良な採水地をいち早く確保したためである。採水地は一度確保すれば、ランニングコストがそれほど高くないため、農夫山泉は低コスト体制で安定した利益を得られる。

また、同社は近年採水地を中国全土に広げている。創業当時は浙江省の千島湖だけだったのが、今は吉林省、湖北省、広東省、四川省、河北省で採水するようになった。このことにより、採水地に近い市場に商品を出荷できるようになり、輸送コストが大きく下がった。

代理店をうまく活用したことも、同社の強みとなっている。直営にこだわるライバルが多い中、農夫山泉は代理店がさらに別の代理店に委託することも許可し、その結果、中国の農村部にまで広がる販売ネットワークを形成することができた。

2019年末の時点で、農夫山泉は4280の代理店経由で、全国で237万以上の販売店と契約している。販売店の78.9%が、三級、四級都市にある。代理店が多すぎることに起因するトラブルも確かに起きているが、売上高の成長という点では、成功したと言えるだろう。

(翻訳:小六)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録