テンセントが短編動画編集ツールをリリース 課題は自社プラットフォームとの連動

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ショート動画プラットフォームにとって動画編集ツールの存在が「最強の援護射撃」だとするなら、このほどテンセントが発表したWeChat(微信)の動画編集ツールも援護射撃の準備万端といったところか。

テンセントは先月27日、各主要アプリストアで動画編集ツール「秒簡(Miaojian)」をリリースした。誰でも簡単に動画制作ができるツールとして売り出しており、「編集」「絵コンテ」といった概念を排除して、わずか数行のテキスト入力、あるは音声入力によって編集作業が完了するという。

テンセントは現在、二つのショート動画製品をリリース済みだ。一つはSNSアプリWeChatに設けられた動画専用アカウント「視頻号(Shipinhao)」、もう一つは動画アプリ「微視(WeSee)」だ。テンセントは経営資源の半分を割いて大々的に微視をバックアップしたが、結果はぱっとしなかった。人気アプリ「抖音(Douyin、TikTokの中国版)」や「快手(Kuaishou)」に勝てるすべはほぼなく、テンセントが短編動画事業にかける期待は微視に替わって視頻号に注がれることになった。

しかし、ひと言言及すべきなのは、今回発表された動画編集ツール秒簡はテンセント自身が開発した製品ではないことだ。

秒簡の製品説明画面(キャプチャー画像)

秒簡で編集された動画は、現段階ではワンクリックで視頻号に投稿できるわけではない。動画をシェアするには友だちに直接転送するか、 「収蔵(コレクション)」リストに掲載するしかない。一方で、競合となる抖音や快手、ビリビリ動画(bilibili)などは、連動する編集ツールからワンクリックで動画をプラットフォームへ投稿できる仕様となっている。

編集ツールの秒簡と共有プラットフォームの視頻号の間で連携に欠ける部分はまさにここであり、秒簡をヒットさせるには最大の障害となっている。秒簡には「視頻号の公式ツール」という枕詞が欠けているのだ。

秒簡からは視頻号へワンクリックで動画を投稿できるわけではない

視頻号は先日、投稿できる動画の時間制限が1~30分にまで拡大された。つまり、秒簡でも長編動画の編集を可能にする必要があるということだ。

大手がこぞって動画編集ツールをリリースする理由

抖音の動画編集ツール「剪映」、快手の動画編集ツール「快影」が人気を獲得したのは、ツールそのものというよりエコシステムの勝利といえる。

両者はそれぞれ類似の機能を有している。動画編集のテンプレート化だ。動画制作をより容易にするために創作過程そのものを簡易化するのではなく、プラットフォーム内で人気の動画から編集に使用したフィルター、特殊エフェクト、BGM、字幕などをまるごと流用できる機能を付したのだ。この機能により、動画クリエイター同士がプラットフォーム上で交流を深め、相互にテンプレートを利用し合うことになる。

リリースしたばかりの秒簡も、視頻号のために設計されたツールとして期待がかかる。

抖音や快手の動画はスマートフォン画面をフルに占有するアスペクト比16:9を採用しているが、視頻号の動画は7:6となっている。よりよい視覚効果を生むためには専用の編集ツールが必須なのだ。

将来的に秒簡から視頻号へ一発で動画投稿ができるようになれば、WeChatのモーメンツ(タイムライン)に動画がシェアされるようになり、そこに友だちからの「いいね!」がつけば、コンテンツ拡散はよりスムーズになる。

白熱するクリエイター間の競争

ショート動画のプラットフォームと動画編集ツールは相互に補完し合う関係だ。プラットフォームがアクティブならばユーザーは自然と創作意欲が湧き、簡単に使える公式ツールがあれば創作のとっかかりとなり、公式ツールを使えばプラットフォームのカラーやムードに合ったコンテンツができ上がる。

抖音、快手、ビリビリ動画、WeChat視頻号はそれぞれプラットフォーム専用の動画編集ツールを抱き合わせにすることで、クリエイター同士の競争も活性化させていくだろう。また、プラットフォーム間におけるトップクリエイターの奪い合いは早々に白熱している状況だ。

抖音のDAU(デイリーアクティブユーザー)は今年8月時点で6億人(抖音が併合した別アプリ「抖音火山版」のユーザーも含める)。快手のDAUは今年2月時点で3億で、WeChat視頻号のDAUは、WeChat開発者アレン・チャン氏の個人アカウントの投稿によると、すでに2億を超えている。

いずれにしろ、メインアプリ(動画プラットフォーム)の成長の中心にあるのは依然としてコンテンツ供給にあり、これがコンテンツ拡散や商業化につながる起点となる。

抖音や快手の動画編集ツールは先発優位にあり、過去1年間にそれぞれ51回、81回のバージョン更新を実行している。秒簡もスピード感をもって視頻号の最新の状況にキャッチアップしていかなければならないだろう。
(翻訳・愛玉)

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