テスラ上海工場、来年の生産計画は55万台 輸出は10万台を超える見込み

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米電気自動車(EV)メーカーのテスラが来年の生産計画をすでに完成させたようだ。

複数の業界関係者によると、テスラの上海工場「上海ギガファクトリー」では2021年、セダンタイプの「Model 3」30万台、SUVタイプの「Model Y」25万台の計55万台が生産される予定だという。ある情報提供者は「テスラはすでにコア部品のサプライヤーに発注を出した」と述べている。

2020年は15万台だった上海工場の計画生産能力が来年大きく拡大する理由として、第2工場が間もなく完成することと、中国工場がより多くの輸出を担うようになることが挙げられる。上述の情報提供者は「55万台のうち、Model 3約10万台、Model Y1万台を輸出する計画だ」と述べた。

36Krは上記の情報についてテスラに問い合わせたが、いまだ回答は得られていない。

テスラは10月26日、上海工場で製造した完成車の欧州向け輸出を開始すると発表した。同日、約7000台の中国産Model 3を積み込んだ船が出航した。販売先はドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ポルトガル、スイス、スウェーデンなど数十カ国の予定だという。

上海工場はテスラが米国以外に初めて設立した工場で、今年1月に操業を開始した。上海工場はModel 3を毎月平均1万台以上生産している。新型コロナウイルスの流行が全世界に拡大した第2四半期には、上海工場が全世界向けに販売する車両生産の主力となった。海外メディアの報道によると、同四半期にテスラが納車した完成車9万891台のうち3分の1が上海工場で生産されたものだった。

テスラは上海工場のほか、独ベルリン工場の建設も急ピッチで進めており、来年の第1四半期には操業を開始する見込みだ。ベルリン工場でもModel 3とModel Yを生産する予定であるにも関わらず上海工場が10万台以上の輸出を担う理由について、業界関係者は欧州における新型コロナウイルス感染の再拡大が関連していると分析する。

海外メディアによると、欧州では10月末に新型コロナウイルスの第2波がピークに達し、フランスとドイツは再びロックダウンを決定した。業界関係者は「欧州でのコロナ渦はサプライチェーン上流の電子部品に対する影響が大きい。現在、市場の現物価格は倍に跳ね上がっている」と説明した上で、テスラは今年末から来年初めにかけてのコロナ渦による不確実な情勢を鑑みて、生産能力を中国工場に集中させる可能性があると指摘した。

テスラは当初から上海工場の計画生産能力を年間50万台としていたが、これほど早くフル生産に達すると予測していた人はほとんどいない。来年のテスラの全世界販売台数は90万台前後になるとみられており、うち半分以上の生産を上海工場が担うことになる。

テスラ副総裁の陶琳氏は以前、上海工場の第2期工事は今年末に完了する予定だと述べていた。上海工場はModel Yの主な生産拠点となり、2021年第1四半期には中国生産のModel Yの納車が始まる見通しだという。

目下のところ、進捗は順調だ。中国工業情報化部がこのほど発表した「道路機動車両生産企業および製品公告(第338弾)」によると、Model Yはすでに製品登録され、車体後部に表示されるテスラの中国語表記「特斯拉」およびエンブレムも記載されている。

今年第3四半期の決算では、テスラの純利益は3億6900億ドル(約390億円)で、5四半期連続で黒字を達成した。2018年までテスラは、粗利率25%前後を維持していたにも関わらず、研究開発費と販売チャネル確立のための費用の比率が大きいために利益を上げられていなかった。だが、Model 3の大量納車が始まったことで、研究開発費用と販売チャネル費用の比率が相対的に下がり、安定した利益を出せるようになった。

中国での工場建設はテスラの市場シェア拡大に貢献し、中国のサプライチェーンの優位性はテスラにより高い利益をもたらしている。第3四半期の決算報告書によると、Model 3の値下げを続けているにも関わらず、自動車事業の粗利率は27.7%に達している。これは中国での生産と納車に関する戦略によるものだ。ザック・カークホーンCFOは、引き続き製造とオペレーションに関するコストを削減していくとし、現地生産・納車がすでにコスト削減の核となっていると発言している。

今年7月以降、テスラの株価は上昇を続け、すでにトヨタやフォルクスワーゲンなどの大手を抜き、世界で最も時価総額の高い自動車メーカーとなっている。テスラが世界一の自動車メーカーになる過程において、中国工場の果たす役割がますます重要になっている。
(翻訳・普洱)

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