自動運転技術で業界をリードするバイドゥ、電気自動車の製造にも乗り出すか

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ロイターの報道によると、中国IT大手バイドゥ(百度)がEVの生産に乗り出す可能性があり、自社生産か、あるいは既存の自動車メーカーと合弁企業を立ち上げ、バイドゥが過半数の株式を保有する形になるという。この報道について、バイドゥは公式コメントを発表していない。

それでも、市場はこの報道を好意的に受け止め、12月15日のバイドゥの株価は13.83%上がり、終値は185.5ドル(約1万9000円)で、時価総額は617.24億ドル(約6兆4000億円)となり、再び600億ドル(約6兆2000億円)の大台に乗せた。

画像はバイドゥより

本当に自動車生産を行うのか

バイドゥは2013年から自動運転の開発を行い、2017年に「Apollo自動運転プラットフォーム」をローンチ。現在、同社は自動運転分野での中国のリーディングカンパニーとなっている。

Apolloシステムは、量産化や実用化が始まっており、「広州汽車(GAC Group)」、「長城汽車(Great Wall Motor)」、そしてバイドゥ傘下の新興EVメーカー「威馬汽車(WM Motor)」などに搭載されている。バイドゥは今後3〜5年間で、Apolloシステム搭載車を100万台以上にする計画を立てている。

このように、バイドゥには自動運転技術および自動車メーカーとの良好な関係があるため、一見すると車両の自社製造に勝算があるように思える。しかし、自動車産業アナリストの鐘師氏によると、バイドゥがもし本当に自社製造を行えば、状況は一変するという。

それはどういうことだろうか。鐘氏は、「現時点でのバイドゥは自動車メーカーにとってサプライヤーであり、両者は提携関係にある。しかし、バイドゥが自社製造に乗り出せば、両者は競合関係になり、提携はうまくいかなくなるだろう。ドイツの自動車部品大手であるボッシュやコンチネンタルが、いつでも車を作れるがそうしないのは自動車メーカーとの関係に配慮したためだ。中国では、ファーウェイが同じ理由から自動車製造をしていない」と話す。

そのため、バイドゥは自社製造による業績への影響を、当面は慎重に見極めることになると鐘氏は見ている。

コストが嵩む自動車事業

画像はバイドゥより

中国では、バイドゥのほか、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)、バイトダンス(字節跳動)、ライドシェア「滴滴(DiDi)」、生活関連サービス「美団(MEITUAN)」など、ほぼすべての大手インターネット企業が何らかの形で自動車産業に関わっている。海外でも、アマゾン、アップルが自動車を開発しているとの噂が絶えない。

バイドゥは最も早く自動運転や自動車開発を行ったため、上記企業より先行しているといえる。しかし、巨額な投資が必要な事業であるだけに、業績への影響もひときわ大きい。

Apolloの実用化が始まり、今年8月には広州市の約4.6億元(約60億円)のプロジェクトの落札に成功したが、事業全体はまだ黒字化には程遠い。事業規模としても、グーグル傘下の自動運転事業「Waymo」の評価額がすでに300億ドル(約3兆1000億円)に達したのに対し、Apolloはわずか19.18億ドル(約2000億円)だ。

今年第3四半期の財務レポートによると、バイドゥの売上高は282億元(約3900億円)で、前年同期比1%増、前期比8%増だった。バイドゥに帰属する純利益は137億元(約1900億円)で、主要事業の回復が鮮明となった。特に広告事業は、ピーク時に近い水準に戻りつつある。

しかし、アリババ、テンセントと合わせて「BAT」呼ばれるにも関わらず、他社と比べてみると、バイドゥの業績はインターネット企業国内トップ5にも入れない状態だ。それだけに、自動車事業を次の成長の原動力にすることができるのか、バイドゥにとって重要な判断をする時期に来ているといえる。そのことはまた、香港での上場を目指す同社の評価額にも影響するだろう。

(翻訳:小六)

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