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配車サービス最大手の「滴滴(DiDi)」が運営するトラック配車サービス「滴滴貨運(DiDi huoyun)」が、15億ドル(約1600億円)の資金調達を行うことがわかった。リードインベスターはテマセク・ホールディングス、「中信産業基金(CPE)」、IDGキャピタルなどだ。コ・インベスターは「中関村龍門基金(Beijing Zhongguancun Longmen Investment)」、シンガポールの物流大手「グローバル・ロジスティック・プロパティーズ」傘下の「隠山資本(Hidden Hill Capital)」、中国の不動産大手「碧桂園(COUNTRY GARDEN)」傘下の「碧桂園創新投資(COUNTRY GARDEN VENTURE CAPITAL)」、香港の金融グループ「鼎珮集団(VMS Group)」、「雲鋒基金(YF Capital)」。資金調達は今年2月までに完了する予定だ。
滴滴貨運は2020年6月にサービスを開始し、今回が初の資金調達となった。出資者には世界的な投資会社、物流企業やPEが含まれているだけでなく、中関村龍門基金のような政府系ファンドもある。中関村龍門基金は中国の社会保障基金を財源とし、北京市や北京市海淀区などが出資している。
滴滴貨運の資金調達については情報が多数流れており、今年1月に複数のメディアが報道したところによると、昨年12月に始めた資金調達に対し約30億ドル(約3000億円)に上る申し込みが殺到したという。
DiDiはトラック配車のポテンシャルを高く評価しているが、この市場の競争は激しい。物流のデジタル化とスマート化にともない、競合他社も資金調達により急速なシェア拡大を目指している。トラック配車大手の「貨拉拉(Lalamove)」はシリーズFで15億ドル(約1600億円)を調達する予定だと報じられており、リードインベスターは「ヒルハウス・キャピタル(高瓴資本、Hillhouse Capital Group)」だ。同社は一カ月前にシリーズEで5.15億ドル(約540億円)を調達したばかり。シリーズFが完了すれば、貨拉拉の評価額は100億ドル(約1兆円)に達する。
それでも、モビリティ関連のすべてのサービスを展開したいDiDiは、トラック配車を諦めないだろう。同社は昨年12月にモビリティ事業をさらに強化しようと組織再編したばかりだ。この再編では、自転車シェアリング、運転代行、買い物代行、トラック配車事業が「都市運輸とサービス事業群」に改組され、上級副総裁の付強氏が同事業群のCEOとなり、総裁の程維氏に直接進捗報告することになっている。
さらに、今年1月中旬に事業群内の組織再編が行われた。運転代行とトラック配車事業担当だった趙輝氏が、トラック配車事業専任となった。このことからも、DiDiのトラック配車事業を成長させようとする意図を見て取ることができる。
現在の滴滴貨運は、中・小型のトラックで都市内または隣接都市間の物流のための配車サービスを提供しており、長江デルタと四川・重慶の大都市を中心としている。中国の他都市へは2021年内の展開を目指す。関係者によると、滴滴貨運は法人顧客向けの定額料金制のトラック配車サービスを開発中で、顧客企業の実情に即したカスタマイズを行い、長期契約してもらうことを目指している。
(翻訳・小六)
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