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中国は綿花の生産量、消費量ともに世界トップだが、綿花産業の実力はその規模に見合っていない。主な課題として、以下の3点が挙げられる。まず、体系的な業界標準が定まっていないため、国際市場における影響力が低く、価格決定権がないこと。また、綿花の品種、品質にばらつきがあり、特に高品質綿花の生産が不足し、輸入に頼っていること。そして、産業チェーンの情報の共有が遅れており、生産性が低いことだ。さらに、昨年12月から、米国が中国の綿花産業を制裁する政策を取り始めるなど、外部環境も悪化している。
目下、中国の綿花産業にとって、実力をつけ外部に制約されないようにするのが喫緊の課題だ。「智棉物聯(Ai Cotton Technology)」はそれを目標に、AIとIoT技術で綿花の産業チェーンの効率を高めようとする企業である。
智棉物聯は栽培から紡績工場までの産業チェーンを事業の対象とし、産業チェーンの情報を取りまとめたプラットフォームを立ち上げている。主な顧客は農家、製綿企業、紡績企業だ。プラットフォーム上では、綿花の栽培に関する情報を収集・公開し、データに基づく栽培をサポートしている。また、先物ヘッジング、保険、融資など金融支援の仲介も行っている。
同社の呉国寧CEOによると、同社は農家に良質な種子の販売や栽培技術の導入を行い、さらにドローン、トラクター、綿摘み機、各種センサーも提供している。智棉物聯は販売する種子のすべてに識別番号をつけ、綿花の栽培から流通までを追跡する。そのデータに農機や人工衛星で収集したデータを加えてAIで分析し、綿花の品質と生産量を予測する。さらに、予測と先物価格、物流と受注の状況などから、その農家に適した農業保険やヘッジングを提案している。
紡績企業向けでは、プラットフォーム上でスマート仕分けシステム、生産管理システムなどを提供している。スマート仕分けシステムでは品種・品質別の綿花の価格変動データを公表し、紡績企業はそれを元により適切な価格で適切な量の綿花を確保できようになる。生産管理システムは品質管理を行うもので、生産性の向上につながる。
紡績企業の発注データもプラットフォーム上に掲示され、農家がそれを確認できるようになっている。このサービスにより綿花の価格の透明度が上がり、農家の収入増を実現している。農家、紡績企業だけでなく、このプラットフォームは銀行と行政の利用をも想定している。銀行はプラットフォーム上のデータを使って与信審査を行い、行政は管理監督、補助金の効果の査定などを行うことが可能だ。
智棉物聯の売上は、農家への物品やサービスの販売や設備使用料、プラットフォームの会員料金、融資の仲介手数料、プラットフォームを通した受注の手数料などからなる。
現在プラットフォーム上では新疆生産建設兵団、全国の綿花市場、鄭州先物取引所のデータが閲覧できる。農地データの対象面積は300万ムー(約19万ヘクタール)以上で、中国の綿花の作付面積の8%に相当する。同社の年間売上は1億元(約17億円)を超えており、月30%の速さで成長している。顧客には国営の紡績企業や台湾の上場企業などトップ企業もある。また、同社は中国の中高品質綿花やサスティナブル綿花の基準制定にも参画している。
(翻訳・小六)
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